再生可能エネルギーとは?身近な例・種類と企業の取り組み事例・導入メリットを解説
- 再生可能エネルギー
地球温暖化や化石燃料の不足などによって注目度が高まっている再生可能エネルギーについて解説します。再生可能エネルギーとは、地熱や風力、太陽光、地熱などを活用した永久的に使えるエネルギーのことです。
再生可能エネルギーの身近な導入例や導入するメリットとデメリット、再生可能エネルギーの種類や発電方法を見てみましょう。世界・日本での普及率や発電割合、日本で普及が遅れている理由などもあわせてご覧ください。
目次
再生可能エネルギーとは
再生可能エネルギーは、太陽光・風力・水力・バイオマスなどを電源にしている、燃料を消費しないエネルギーです。
- 温室効果ガスの排出量がゼロまたは微少
- 国内で生産できる
- 低炭素
この3つの特徴を備えているため、石油・石炭などの輸入エネルギーに依存しない・エネルギー安全保障に寄与できるといったメリットもあります。
2015年に採択・翌年発効したパリ協定では以下の目標が掲げられています。
- 世界の平均気温上昇を産業革命以前と比較して2度以上低く、1.5度に抑える
- 世界の温室効果ガス排出量をピークアウトして温室効果ガス排出量と森林などの吸収量のバランスをとる
この目標を達成するため、世界各国で再生可能エネルギーの導入が推進されているのです。
特に、エネルギー自給率が非常に低い日本では、再生可能エネルギーを主力電源にする取り組みが進んでいます。
(参考:経済産業省・資源エネルギー庁「総論・再生可能エネルギーとは」)
再生可能エネルギーの種類
再生可能エネルギーに分類されているエネルギーは数種類あります。再生可能エネルギーの分類、それぞれのメリットとデメリットや身近な導入例などを見てみましょう。
太陽光発電
メリット | ・災害時や非常時に利用できる ・屋根にパネルを設置できるので一般家庭でも導入できる ・騒音などの被害がない |
デメリット | ・導入費用・メンテナンスなどのコストがかかる ・発電量が天候と時間帯に左右される ・大規模設備を設置するのに広大な土地を必要とする |
身近な導入例 | ライトやランタン・道路標識・街灯・離島の灯台・通信衛星・気象衛星など |
太陽光発電は、太陽光をパネルに集めて作った電気を使用できるように変換する発電方式です。
一般家庭でも使用できるため、日本の再生可能エネルギーの中では最も多く導入・活用されています。
再生可能エネルギーの普及が今一歩の日本ですが、設置場所を選ぶ必要がない太陽光発電の普及が最も進んでおり、非常用電源としても期待されています。
風力発電
メリット | ・風があれば時間帯に関係なく発電できる ・陸・海上に設置できるので、狭い国土でも導入が可能 ・エネルギーの変換効率が40%前後あるので効率的に発電できる |
デメリット | ・発電時に立てる音が大きい ・風車に動物が巻き込まれる可能性がある ・景観・自然環境への悪影響が懸念されている |
身近な導入例 | 街灯・非常電源・無線中継基地・山小屋・農牧地の灌漑や揚水など |
風力発電は、風車を回して風のエネルギーを電気エネルギーに変換させる発電方式です。風が恒久的に吹いている場所なら陸上でも洋上でも設置できるため、地理的な問題があって再生可能エネルギー導入が遅れ気味の日本でも推進されています。
洋上風力発電なら日本でも大規模に導入できるため、今後再生可能エネルギーの主力といえるほどの比重になると予想されています。
水力発電
メリット | ・水のせき止めや汲み上げなどで発電量を調整できる ・産業の創出や地域での雇用など、地域と共生可能なエネルギー源になっている ・エネルギー変換効率が80%あるので効率よく発電可能 |
デメリット | ・ダムなどの大型の発電設備の新規開発が難しい ・発電量が降水量に左右されやすい ・大規模発電所から需要地が遠いために送電ロスが起こりやすい |
身近な導入例 | 農業用水など |
水力発電は、水を高所から低所に落とす勢いで水車を回して電気エネルギーを発生させる発電方法です。
大規模施設であるダムだけではなく、河川の流水・農業用水・上下水道でも、高低差を作れる水域なら発電できるため、比較的手軽に開発できる中小水力発電設備の設置が拡大されています。
熱、地熱発電
メリット | ・発電に使用した蒸気・熱水を資源として再利用できるのでエネルギーを無駄なく使える ・天候・時間帯を問わずに安定運転・供給できる ・日本の豊かな地熱資源を活用してさらに生産拡大できる |
デメリット | ・地熱貯留層の精密調査が難しいため、開発リスクが高い ・開発コストが高い ・発電効率が20%しかない |
身近な導入例 | 暖房・魚の養殖・農業用ハウスなど |
熱・地熱発電は、地下のマグマから抽出した熱エネルギーを利用し、タービンを稼働させる発電方法です。日本は火山帯に位置しているので地熱発電と相性がよいので、発電効率を高められれば生産・供給共に安定する発電方法になると予想されています。
バイオマス発電
メリット | ・電力の安定供給ができる ・排熱エネルギーを再利用できる ・国産材を使うことにより地域活性化を図れる |
デメリット | ・木製バイオマス発電のコストが高い ・人件費と運搬費がかさむ ・発電効率が最大でも20%しかない |
身近な導入例 | 暖房・温泉施設の給湯・木材の乾燥など |
バイオマス発電は、動植物など再生可能な生物資源を燃やしたりガス化させたりしてエネルギーを出す発電方法です。燃焼時にCO2が生じますが、材料である植物が光合成をしてCO2を消費しているので、差し引きゼロになります。
ゴミとして処分されていたものを資源にして利用できるというのが大きなメリットで、多くの企業がバイオマス発電を始めています。
海流発電、潮流発電
メリット | ・発電設備が水深5mに設置されるため、天候に左右されない ・海洋で生まれる力を利用するため運用コストが安い ・燃料を使わないので環境負荷が少ない ・安定した電力を供給可能 |
デメリット | ・海水によって発電設備が劣化しやすい ・発電可能なエリアが限定される ・規模を拡大すると海の生態系に悪影響になりかねない |
身近な導入例 | 実用化は準備段階 |
海流発電と潮流発電は、潮の満ち引きなど海流や潮流が発するエネルギーを活用する発電方法です。
海に囲まれている日本にとって非常に有利な発電方法なので、現状では実用化に至っていませんが、今後の動向が注目を集めています。
日本と地形条件が似ているイギリスでも潮力発電の開発が進んでおり、イギリスでは再生可能エネルギーの主力になる可能性が高まっています。
注意:原子力発電は再エネではない
原子力発電は、発電時にCO2を排出しないという再生可能エネルギーと共通する条件があるため、再生可能エネルギーと混同されやすいですが、燃料を使用するので再生可能エネルギーには含まれません。
2013年の東日本大震災が起こったときに福島原発事故が発生したため「原子力発電を再生可能エネルギーで代替できないか」という声も上がるようになりました。
しかし、現状の技術では安定供給ができず、蓄電技術も発達していないことから、代替は不可能とされています。
2050年カーボンニュートラルが実現するほど再生可能エネルギーの研究と開発が進めば、再生可能エネルギーが原子力発電に代わる電源になり得ます。
自然エネルギー・クリーンエネルギー・新エネルギーとの違い
再生可能エネルギーが話題になると、自然エネルギー・クリーンエネルギー・新エネルギーという名称が共に挙げられることが多いです。この3種類のエネルギーの特徴と再生可能エネルギーの違いを解説します。
特徴 | 例 | |
自然エネルギー | 自然から得られるエネルギー CO2排出量ゼロ |
太陽光・風力・水力・ 地熱・バイオマス |
クリーンエネルギー | 環境負荷が少ないエネルギー CO2排出量は必ずしもゼロではない |
自然エネルギーに加えて 原子力やLNG火力を 含むこともある |
新エネルギー | 日本の法律で普及を推進している 再生可能エネルギー 熱利用も含む |
太陽光・風力・水力・地熱・ バイオマスなど10種 |
自然エネルギー
自然エネルギーは、自然環境から得られる再生可能エネルギーの一種です。
再生可能エネルギーは再利用可能で燃料を使わないエネルギー全般で、必ずしも自然環境から得られるエネルギーではありません。
自然エネルギーは、発電時に温室効果ガスを発生させない・環境に負荷を与えにくい・無限に使えるエネルギーとして重要視されています。
特に、現在多くの国の主力電源として利用されている化石燃料は近い将来枯渇する可能性が高く、環境負荷も高いため、化石燃料のようなデメリットがない自然エネルギーが注目されているのです。
太陽光発電・風力発電・水力発電・バイオマス発電・地熱発電が自然エネルギーに分類されています。
クリーンエネルギー
クリーンエネルギーは明確な定義がないエネルギーですが、一般的には環境負荷が少なく、温室効果ガスなどの有害物質を発生させないエネルギーを指す言葉です。
再生可能エネルギーとクリーンエネルギーは、温室効果ガス・汚染物質の排出量で区別されます。文字通りクリーンかそうでないかの違いです。
再生可能エネルギーのうち、太陽光・風力・水力・地熱発電はクリーンエネルギーにも分類されますが、バイオマス発電は燃焼時に排出物があるため、クリーンエネルギーとは言えません。
クリーンエネルギーと自然エネルギーは同一視されることが一般的です。
新エネルギー
新エネルギーは、日本の法律で特に普及を推進している再生可能エネルギーを表す言葉です。
新エネルギーは資源の枯渇がなく、CO2などの温室効果ガスの排出量が微少またはゼロという点で導入を急いでいます。
日本はエネルギー自給率が非常に低いため、資源が枯渇せず、自国で永続的に供給できるという点が特に重視されています。2050年カーボンニュートラル実現のために環境負荷を下げる必要があるという部分も重要です。
新エネルギーは、燃料分野・熱利用分野・発電分野の3つに分かれます。「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法施行令」第一条で定められた10種類の分類は以下の通りです。
燃料分野 | バイオマス燃料製造 |
熱利用分野 | 太陽熱利用 |
バイオマス熱利用 | |
温度差熱利用 | |
雪氷熱利用 | |
発電分野 | 太陽光発電 |
風力発電 | |
水力発電 | |
地熱発電 | |
バイオマス発電 |
再生可能エネルギーが注目されている背景
現在、再生可能エネルギーが世界中の注目を集め、主力電源を再生可能エネルギーにしようとする動きが活発になっています。その背景にどういった事情があるのかを見てみましょう。
背景①地球温暖化の深刻化
再生可能エネルギーの導入が推し進められるきっかけを作った第一の要因は、地球温暖化です。
18世紀後半にイギリスで産業革命が起こってから工業が活発化し、機械化が進みました。その過程で世界各国の化石燃料の使用量が増大し、CO2などの温室効果ガスの排出量が増えました。
その結果、大気の濃度が高まって熱吸収が増え、気温が上昇したのです。産業革命が起こる前には280ppmだった二酸化炭素濃度は、2013年に400ppmを突破しています。
こういった気候の変化を「地球温暖化」と呼び、その対策が練られるようになっていったのです。
地球温暖化を危険視する国々がサミットなどで対策を話し合い、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする計画・カーボンニュートラルが考案されました。
背景②福島原発事故
日本で再生可能エネルギーが注目され、導入が進む発端になったのは、2011年3月の東日本大震災によって福島原発事故が起こったことでした。
原子力発電に代わる、非常時にも使える安全なエネルギーを求める声が大きくなったのです。
日本においては、オイルショックも再生可能エネルギー導入の一因になっています。エネルギー自給率が12%以下の日本では、オイルショックは非常に大きな打撃でした。
しかし、再生可能エネルギーが主力電源になれば、オイルショックや大震災のような事態が発生しても大きな被害を受けなくなります。
日本の再生可能エネルギー普及にはいくつも課題がありますが、それでも普及しなければ2050年カーボンニュートラルを実現できません。政府・企業・自治体が再生可能エネルギー普及のための努力を積み重ねていることでも、再生可能エネルギーの注目度が高まっています。
(参考:TOSHIBA「“今さら聞けない” 再生可能エネルギーとは?種類や課題をおさらい!」)
背景③2016年のパリ協定締結
2016年に発効したパリ協定も、再生可能エネルギーに対する関心を高めました。「平均気温上昇を産業革命以前と比較して2度以上低く、1.5度に抑える」という目的を達成するため、諸国がそれぞれ目標を立て、その実現を宣言しています。
日本では、2020年3月に「2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度と比べて26%削減する」「地球温暖化対策計画を見直す」などの目標を世界に向けて発信しました。
アメリカやEU諸国でもそれぞれの温室効果ガス削減目標を立てて、その達成のために活動しています。
政府と企業と自治体だけではなく、個人でも努力することを呼びかけられており、パリ協定以前は地球温暖化に関心がなかった層も、再生可能エネルギー導入の意識を高めました。
(参考:日経ビジネス「再生可能エネルギーとは?世界が注目する枯渇しないエネルギー源」)
世界と日本の再エネ普及率・発電割合は?
世界と日本の再生可能エネルギー普及率と発電割合を解説します。
現在どういった状態なのか、普及率や発電割合は伸びているのかを見てみましょう。
世界の再エネ普及率
出典:IEA Market Report Series – Renewables 2021(各国2020年時点の発電量)、IEA データベース、総合エネルギー統計(2020年度確報値)等より資源エネルギー庁作成
グラフ出典:経済産業省・資源エネルギー庁「日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」
(出典:Energy Institute, Statistical Review of World Energy 2023(2023年6月))
(グラフ出典:自然エネルギー財団「統計|国際エネルギー」)
世界の再生可能エネルギー普及率は、2050年カーボンニュートラル実現に向けて着実に推進されていることが、グラフを見るとわかります。
再生可能エネルギー比率が66.3%のカナダ以外の国の主力電源は化石燃料を用いる火力発電ですが、再生可能エネルギーが占める比率がパリ協定以降上昇しています。
再生可能エネルギーの比率が特に高い中国では、2022年の再生可能エネルギー容量の統計において、1,206TWという数字を出しました。2位のアメリカの3倍以上のエネルギー容量です。
中国は、2006年の再生可能エネルギー法設立以降、5年ごとにエネルギー発展5カ年計画を制定し、再生可能エネルギーを導入していき、2009年にアメリカ・EUを抜いてトップに輝きました。
広大な国土を活かした水力発電を始め、太陽光発電の割合も増えました。
2位のアメリカは、テキサス州・カリフォルニア州で砂漠を活用したメガソーラー・ギガソーラーが次々と設置されています。
パリ協定では、再生可能エネルギー導入が資金・国土の不足から進んでいない途上国への支援も推奨されており、途上国の今後の再生可能エネルギー事業発展が期待されています。
(参考:タンソーマン「再生可能エネルギー世界ランキング・国別【最新版】」)
日本の再エネ普及率
(出典:経済産業省・資源エネルギー庁「電力調査統計」などよりISEP作成)
(グラフ出典:環境エネルギー政策研究所「2022年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報))
(出典:経済産業省・資源エネルギー庁「電力調査統計」などよりISEP作成)
(表出典:環境エネルギー政策研究所「2022年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報))
前項の資源エネルギー庁作成のグラフを見ると、日本の再生可能エネルギー電力比率は約19.8%で、再生可能エネルギー発電設備容量は世界で6位でした。しかし、太陽光発電は世界で3位になっています。
上のグラフを見ると、2022年に自然エネルギーが全発電電力量で占めた割合が22.7%に達したことがわかります。日本の再生可能エネルギー普及率は高いとは言えませんが、着実に上昇しているのです。
2016年と比べると、太陽光発電は約2.2倍、バイオマスは約2.4倍増えました。自然エネルギー全体を見ると1.5倍以上です。化石燃料使用率は83.6%から72.4%に下がっています。
今後の課題は、2050年カーボンニュートラルを実現させるため、再生可能エネルギーの割合を増加させ、化石燃料の割合をさらに低下させていくことです。
(参考:環境エネルギー政策研究所「2022年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報))
日本はなぜ再生エネルギーがなかなか普及しないのか?
日本は2050年カーボンニュートラルに向けて「温室効果ガス排出量を差し引きゼロにする」と宣言しましたが、「再生可能エネルギー普及率がめざましい」とは言えないのが現状です。
日本で再生可能エネルギーがなかなか普及しない理由として、以下の2つが挙げられています。
- 日本の地理・天候の問題
- 世界と比較すると再生可能エネルギーの発電コストが高い
日本で最も推進されている再生可能エネルギーは太陽光ですが、日本は地理的な問題で年間日照時間は1944時間で、アメリカ・南アフリカなどより500時間以上短いため、太陽光発電で得られるエネルギーもアメリカなどより少ないです。
気候の特徴に地域差があるのも、発電量が天候に左右されやすい太陽光・風力発電に不利な条件です。
発電コストについては後の章で解説します。
再生可能エネルギーとFIT制度(固定価格買取制度)の関係
FIT制度は、電気事業者が再生できるエネルギー源によって発電した電気を一定期間買い取ることを義務付ける制度です。再生可能エネルギー普及を進行させる目的で2012年7月1日に制定・施行されました。
しかし、電気買い取りの費用は、国民が支払う月ごとの電気料金に「再エネ賦課金」を足すという形式で負担しており、再生可能エネルギーの買い取り件数が増えると共に再エネ賦課金も増加しました。
その結果、国民負担も増えたので、2017年4月に改正されています。
下のグラフは、再エネ賦課金の推移(円/kWh)を年度別に表したものです。
2023年度は、燃料費高騰の影響で初めて減額となりましたが、今後は再生可能エネルギーの普及に伴い増加していくことが予想されます。
買い取る再生可能エネルギーが太陽光に偏っていたことも、改正の理由です。
国民負担の軽減・太陽光発電購入の偏りの解消を目標に、改正FIT制度では「適切な点検と保守を行い、発電量を維持すること」「系統安定化を目指すため適切に発電事業を実施すること」などの認定基準が9つ追加されました。
再生可能エネルギーのメリット
再生可能エネルギー導入には多くのメリットがあります。そのうち、代表的なメリット2つについて解説します。
発電時にCO2を発生しない
再生可能エネルギーはCO2の排出量を大幅に減らし、最終的にはゼロにする目的で開発されたエネルギーなので、発電時にCO2を発生しないというメリットが最も重視されています。
CO2のみならず、酸性雨の原因になるSO2(二酸化硫黄)・NOx(窒素酸化物)などの排出も抑制可能です。
SO2やNOxが混じった酸性雨は、世界中の土壌汚染・河川などの水質悪化・森林破壊の原因になるので、地球温暖化を促進する温室効果ガスだけではなく、SO2やNOxの排出も抑制しなければなりません。
環境負荷を低下させるだけではなく、環境を良くすることを目的にしている世界各国にとって、CO2などの排出量の減少は非常に大きなメリットなのです。
化石燃料に依存しない
CO2を大量に排出する上に有限の資源である化石燃料への依存度が弱まることも、再生可能エネルギー導入の利点です。
2021年に世界中のエネルギー需要が高まった結果、原油・天然ガスなどの化石燃料の価格が急騰しました。同時期に日本では寒波が襲来したため、電力の需要がさらに高まりました。1970年代に発生したオイルショックほどではありませんが、2021年には多くの人が苦境に立たされたのです。
しかし、化石燃料に依存する必要がなくなれば、有事の際に電力不足で困窮するという事態は避けられます。再生可能エネルギーなら国内で自給自足が可能なので、国際情勢に変化が生じた場合にも対応できます。
これも、再生可能エネルギーの重要なメリットです。
再生可能エネルギーのデメリット・課題
再生可能エネルギーの導入にはデメリットや課題もあります。日本の再生可能エネルギー普及率が伸びない原因の1つである発電コストの高さなどのデメリットを見てみましょう。
発電コストが高い
再生可能エネルギーの最大のデメリットは、発電コストが高いことです。日本での再生可能エネルギー普及率の低さも発電コストが原因の1つなので、この問題は早急に解決する必要があります。
日本の2020年度時点での電力買取価格表と各国のコスト低減状況のグラフを見てみましょう。
エネルギーの種類 | 電力買取価格 |
太陽光発電(事業用) | 12円/kWh |
陸上風力発電 | 8円/kWh |
バイオマス発電 | 24.0円 |
(グラフ出典:経済産業省・資源エネルギー庁「再生可能エネルギーの主力電源化に向けた制度改革の必要性と課題」)
グラフを見ると、日本の電力買取価格が欧米諸国の倍近くであることがわかります。
日本の発電コストは順調に低下していますが、アメリカ・欧米諸国より高いのが解決するべき課題なのです。
国民負担が増える再エネ賦課金との関係
再エネ賦課金は「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の略称で、再生可能エネルギー買い取り費用を捻出するための賦課金です。火力発電や原子力発電よりも発電コストが高い再生可能エネルギーを普及させるために活用されています。
国民の電気使用量に再エネ賦課金が追加されるため、発電コストが高いほど国民負担が増えます。
それを理由にFIT制度が改正されましたが、経済産業省は2023年に再エネ賦課金が前年度の3.45円/kWから1.40円/kWにすると決定しました。再エネ賦課金の初めての低下です。
低下の原因は、化石燃料の価格が高騰したことです。再エネ賦課金の単価は以下の計算式で算出されています。
(買取費用等-広域的運営推進機関費用等+回避可能費用等)÷販売電力料=再エネ賦課金
化石燃料が高騰したために回避可能費用が増加し、再エネ賦課金が大幅に減少したのです。
再エネ賦課金の安値がいつまで続くかは化石燃料の価格や他の情勢次第で、再エネ賦課金制度がいつまで続くかはまだ発表されていません。
設備をつくる際にCO2を発生させてしまう
再生可能エネルギーの設備をつくる際にCO2が発生することも問題視されています。
たとえば、燃料不要の太陽光発電は、発電中のCO2発生はありません。しかし、発電に必要な太陽光パネルの製造・運搬・設置の過程でCO2が排出されるのです。
他の再生可能エネルギー施設の建築でも同様で、CO2の発生をゼロにする手段がありません。
しかし、CO2の排出量と同程度吸収されるようにすれば、差し引きゼロというカーボンニュートラルを実現可能です。
長い目で見れば、再生可能エネルギーを活用することによってCO2の排出を大幅に減らせるので、最終的にCO2排出量を実質ゼロにできます。
日本企業の再生可能エネルギーの取り組み事例
事業活動で使用するエネルギーの100%を再生可能エネルギーにすることを目標に掲げた国際的イニシアチブ・RE100(Renewable Energy 100%の略称)に参画する日本企業が増えています。
RE100に参加した日本企業の再生可能エネルギーの取り組み事例を見てみましょう。
企業の取り組み事例①イオン
全国各地で小売業を展開しているため、消費電力が日本全体の1割近くになると言われているイオンは、2018年にRE100に参画しています。
現在までに実施した中で代表的な取り組み事例をご覧ください。
- 卒FIT電力の買い取り
- PPAモデル導入拡大
- 各地域で再生可能エネルギー直接契約を推進
- 店舗屋上に太陽光発電システムを設置
イオンは2030年までに日本国内の使用電力の50%を再生可能エネルギーに切り替え、2040年までにイオングループで排出するCO2などを総量でゼロにする目標を掲げています。
(参考:Solar Frontier「企業の再生可能エネルギー導入・活用事例11選」)
企業の取り組み事例②キリンホールディングス
キリンホールディングスは、2020年にRE100に参入後、2040年までに消費電力を再生可能エネルギー100%にすると宣言しています。
2023年1月に福岡工場と岡山工場において、購入電力の100%を再生可能エネルギーにしました。その結果、両向上の購入電力由来の温室効果ガス排出量がゼロになっています。
キリンビールでは名古屋工場と仙台工場の再生可能エネルギー100%を実現しており、2023年1月時点で全9工場のうち4工場が再生可能エネルギー100%の目標を達成しました。これによって、キリンビール全体の再生可能エネルギー比率は42%になっています。
(参考:Solar Frontier「企業の再生可能エネルギー導入・活用事例11選」)
まとめ
再生可能エネルギーの導入にはいくつもの課題がありますが、その課題を乗り越えることによって日本のエネルギー自給率を向上させ、2050年カーボンニュートラル実現にも近づきます。
政府・企業・自治体・個人が一丸となり、再生可能エネルギー主力電源化達成を目指していきましょう。
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編集者
maeda