非化石証書とは?FIT・非FITの違いや活用事例をわかりやすく解説!【2026年最新】
- CO2削減

非化石証書とは、化石燃料由来ではない電源で発電された電力の環境価値を証書化したものです。JEPX(日本卸電力取引所)で取引され、購入した企業はCO2排出量を削減したとみなされます。RE100・CDP・温対法への報告にも活用でき、設備投資なしで脱炭素を進められる手段として広がっています。
カーボンニュートラルの実現に向けて、非化石証書への注目度は年々高まっています。
太陽光発電所の新設やPPAの導入には時間もコストもかかりますが、非化石証書なら電力契約を変えずに、必要な分だけ環境価値を調達できるため、再エネ化の取り組みを段階的に推進できるからです。
実際、取引先から「CO2排出量を削減してほしい」「削減の証跡を提出してほしい」という要望を受け、急いで再エネ化の施策を検討し始める企業も増えてきました。
この記事では、非化石証書の仕組みから3種類の違い・価格相場・購入方法・メリット・デメリット・導入事例まで、企業の脱炭素担当者向けにわかりやすく解説します。
- 非化石証書の仕組みと3種類の違い
- 非化石証書の価格相場
- 非化石証書の使い方と適用できる制度
- J-クレジット・グリーン電力証書との違い
- 非化石証書のメリット・注意点
- 非化石証書の購入方法・導入事例
シミュレーター
最低調達量:1 kWh〜
本シミュレーターは ¥4,500 / t-CO2 を参考値として使用
最低調達量:1,000 kWh〜
目次
非化石証書とは?仕組みをわかりやすく解説

非化石証書とは、再生可能エネルギーや原子力など「CO2を排出しない電源」で発電された電気の環境価値を切り離し、証書として売買できるようにした仕組みです。
電気そのものを買うのではなく、電気に付随する「CO2を出していない」という価値だけを買う点が最大の特徴です。
そのため、自社に太陽光パネルを設置したり、電力会社を切り替えたりしなくても、証書を購入するだけでCO2排出量の削減を主張できます。制度は2018年に開始され、2021年からは小売電気事業者だけでなく一般企業も直接購入できるようになりました。脱炭素施策のなかでも導入ハードルが低く、まず最初に検討されることの多い手段です。
そもそも環境価値とは?
電力市場では、化石電源と非化石電源の区別なく電気が混ざり合って流通しています。送電網に流れた時点でどの電気がどの発電所由来かは判別できないため、「再エネ由来の電気だけを買う」ことは通常の取引では実現できません。
そこで、電気から環境価値だけを切り離し、証書として売買できるようにしたのが非化石証書です。証書を保有すれば、物理的に再エネの電気を使っていなくても、「実質的にCO2を排出しない電気を使用している」と証明できます。この「環境価値の分離」という考え方が、非化石証書を理解するうえでの出発点になります。
非化石証書の仕組み

非化石証書は、発電事業者による発行から企業の購入まで、次の3ステップで流通します。
- 非化石電源(再エネ・原子力等)を持つ発電事業者が、発電量に応じた非化石証書を発行する
- 証書はJEPXの非化石価値取引市場でオークション形式により売買される
- 小売電気事業者や企業(需要家)が証書を購入し、CO2排出量の削減に活用する
購入した証書を自社が使用する電気にひも付けることで、その電気は実質的にCO2排出量ゼロとみなされます。すでに排出したCO2を証書で相殺するカーボンオフセットとしての活用も可能です。
取引はオークション形式で年に複数回実施され、価格は需給バランスによって動きます。証書の管理はJEPXの口座上で行われ、使用時には「無効化(償却)」の手続きを経て初めて実績として計上できる点も押さえておきましょう。
非化石証書の3種類と価格相場

非化石証書は対象となる電源によって3種類に分かれ、種類ごとに価格相場・購入できる人・使える制度が異なります。
自社がRE100に対応したいのか、コストを抑えて温対法の報告に使いたいのかによって、選ぶべき証書は変わります。まずは早見表で全体像をつかみましょう。
| ①FIT非化石証書 | ②非FIT非化石証書(再エネ指定あり) | ③非FIT非化石証書(再エネ指定なし) | |
|---|---|---|---|
| 対象電源 | FIT対象の再エネ(太陽光・風力・小水力・地熱・バイオマス) | 卒FIT電源、FIT対象外の大型水力など | 原子力、ごみ発電(廃プラスチック)など |
| 価格相場 | 0.4円/kWh前後 | 0.6〜1.3円/kWh | 非公開 |
| 購入対象者 | 小売電気事業者・条件を満たす一般企業 | 基本的に小売電気事業者のみ | 小売電気事業者のみ |
| RE100での利用 | 可(トラッキング付き・15年未満条件あり) | 可(同上) | 不可 |
| 取引市場 | 再エネ価値取引市場(マルチプライスオークション) | 高度化法義務達成市場(シングルプライスオークション) | 高度化法義務達成市場 |
① FIT非化石証書(再エネ指定)
FIT制度(固定価格買取制度)の対象となる再エネ、すなわち太陽光・風力・小水力・地熱・バイオマスの環境価値を証書化したものです。
国が最低価格をコントロールしているため比較的安価に推移しており、価格の見通しが立てやすい点が魅力です。取引は再エネ価値取引市場のマルチプライスオークションで行われ、小売電気事業者だけでなく条件を満たした一般企業も直接購入できます。
さらに、全量にトラッキング情報が付与されるため、どの発電所のいつの発電分かを追跡できます。RE100・CDPといった国際イニシアチブへ対応する際に最も活用される種類であり、一般企業が非化石証書を検討する場合はまずこのFIT非化石証書が候補になります。
② 非FIT非化石証書(再エネ指定あり)
FITの買取期間が終了した「卒FIT電源」や、FIT対象外の大型水力発電など、FIT制度を利用していない再エネの環境価値を証書化したものです。
現状は基本的に小売電気事業者のみが購入でき、一定の条件を満たした需要家が購入できるケースもあります。取引は高度化法義務達成市場のシングルプライスオークションで行われ、価格は需給の影響を受けやすく、FIT非化石証書よりやや高めで推移する傾向です。
再エネ指定があるためRE100への対応にも使えますが、一般企業が直接購入するハードルは高く、実務上は小売電気事業者を通じて「非化石証書付き電力プラン」として調達することが多い種類といえます。
③ 非FIT非化石証書(再エネ指定なし)
原子力発電やごみ発電(廃プラスチック)など、再エネ以外の非化石電源の環境価値を証書化したものです。
購入できるのは小売電気事業者のみで、一般企業が直接購入することはできません。また再エネ指定がないため、RE100への適用は認められていません。純粋な再エネ100%を証明したい場合は、①または②を選ぶ必要があります。
一方で、CO2排出係数の低減という意味では効果があり、温対法の報告やCSR活動としてのブランドアピールを目的に、小売電気事業者が調達して電気とセットで提供するケースが中心です。「非化石=再エネ」ではない点は、証書選びで最も間違いやすいポイントなので注意しましょう。
非化石証書はどのように使うのか
非化石証書は、CO2排出量の削減報告や再エネ調達目標の達成に向けて、企業が電力の環境価値を主張する際に活用します。
ポイントは、非化石証書が「電気」ではなく「証書」だという点です。電力契約は今までどおりで構いません。年間の使用電力量に相当する証書を別途購入してひも付けることで、「CO2排出量の少ない電気を使った」とみなされます。
設備投資も電力契約の切り替えも不要なため、最も手軽に始められる脱炭素施策の一つです。実務上は、①年間使用電力量を確認する→②対応したい制度に合う証書を選ぶ→③必要量を購入し無効化手続きを行う→④報告書に反映する、という流れで進めます。
非化石証書が適する場合
以下のような状況にある企業は、非化石証書との相性が良いといえます。
- 短期間で脱炭素対応を進めたい企業(発電設備の新設が不要)
- Scope2排出量を削減したい企業
- 取引先や入札からの脱炭素要請に急いで対応する必要があるサプライヤー
- 少量から証書を調達したい企業(OFFSELは1kWhから購入可能)
- コストを抑えて再エネ化を進めたい企業
特に多いのが、取引先から「CO2削減の証跡を提出してほしい」と急に要請されるケースです。自社での発電設備導入には数か月〜年単位の時間がかかりますが、非化石証書は申込から取得までのリードタイムが短く、期日対応にも間に合わせやすいのが強みです。
まずは一部拠点だけ証書化し、成果を見ながら段階的に対象を広げていく進め方もできます。
非化石証書を適用できる制度
非化石証書は、国内制度から国際イニシアチブまで幅広い報告に活用できます。
| 制度 | 非化石証書の使い方 |
|---|---|
| Scope2排出量算定 | GHGプロトコルにもとづく電力由来排出量の削減報告に使用 |
| RE100 | トラッキング付きFIT証書・運転開始15年未満の電源で再エネ実績として計上 |
| SBTi | 科学的根拠に基づく削減目標の達成手段の一つとして活用 |
| CDP(気候変動) | 再エネ由来であればトラッキングなしでも情報開示に計上可能 |
| 温対法 | 温室効果ガス排出量の算定・報告に使用 |
| 省エネ法 | 定期報告における非化石エネルギー転換実績として報告 |
注意したいのは、制度によって求められる証書の条件が異なる点です。RE100は「トラッキング付き」かつ「運転開始15年未満」という厳しい条件がある一方、CDPや省エネ法では追跡性まで求められないケースが多く、コストを抑えた証書選びができます。
まずは対応したい制度を先に決め、そこから逆算して証書の種類とコストを検討するのが失敗しない進め方です。
非化石証書とJ-クレジット・グリーン電力証書の違い

※OFFSEL ホワイトペーパーより抜粋
非化石証書・J-クレジット・グリーン電力証書は、いずれも環境価値を証明する仕組みですが、対象・発行主体・価格帯・使える制度が異なります。
どれか一つが優れているという関係ではなく、削減したい排出(Scope1・2・3)や重視する要件によって使い分けるものです。ここでは非化石証書を軸に、それぞれの違いを整理します。
非化石証書とJ-クレジットの違い
非化石証書は「電力の環境価値」、J-クレジットは「CO2の削減・吸収量」を証明する仕組みです。対象・価格帯・用途の違いは以下のとおりです。
| 非化石証書 | J-クレジット | |
|---|---|---|
| 対象 | 非化石電源(原子力・再エネ等)で発電された電気 | 省エネ・再エネ設備によるCO2排出削減・吸収量 |
| 発行主体 | 国(JEPX非化石価値取引市場) | 国(J-クレジット制度事務局) |
| 価格帯 | 0.411円/kWh〜 | 4,500円〜 |
| 主な用途 | Scope2排出量の削減、RE100対応 | Scope1・3排出量のオフセット |
| 取引単位 | kWh単位 | t-CO2単位 |
根本的な違いは、証明する対象です。非化石証書は「電力そのものの属性」を、J-クレジットは「省エネ・再エネ活動による削減・吸収の成果」を証明します。
そのため、電力由来の排出(Scope2)は非化石証書、燃料使用やサプライチェーン排出(Scope1・3)はJ-クレジットが適しています。両者は競合ではなく補完関係にあり、電力分は非化石証書、それ以外はJ-クレジットと役割分担させて組み合わせる企業も少なくありません。
非化石証書とグリーン電力証書の違い
非化石証書は原子力を含む非化石電源全般が対象ですが、グリーン電力証書は再エネのみが対象です。主な違いを整理しました。
| 非化石証書 | グリーン電力証書 | |
|---|---|---|
| 対象電源 | 非化石電源全般(原子力含む) | 再生可能エネルギーのみ |
| 発行主体 | 国 | 民間の認証機関 |
| トラッキング | 選択可能(追加費用あり) | 発電所情報が標準で紐づく |
| 追加性 | 基本的になし | 新規再エネ電源の増設を後押しする性質あり |
| 取扱量 | 大量調達に対応しやすい | 相対的に流通量が少ない |
最大の違いは対象電源です。非化石証書は原子力を含む非化石電源全般が対象ですが、グリーン電力証書は再エネに限定されます。また、発行主体も国と民間認証機関で異なります。
追加性(新しい再エネ電源を増やす効果)を重視し、「再エネであること」を明確に打ち出したい企業にはグリーン電力証書が向いています。一方、コストを抑えて大量の電力を実質再エネ化したい企業には非化石証書が適しています。自社が対外的に何を訴求したいかで選び分けましょう。
非化石証書を購入する3つのメリット
企業が非化石証書を購入するメリットは、コスト・スピード・対外的な評価の3点に集約されます。
自社で発電設備を持つ場合と比べ、初期投資も運用負担も発生しない点が最大の利点です。ここでは代表的な3つのメリットを解説します。
メリット①:設備投資なしでCO2排出量をゼロにできる
非化石証書を購入するだけで、既存の電気契約のままCO2排出量を実質ゼロにできます。
自社に再エネ設備を導入しなくても、証書を購入した分だけ使用電力のScope2排出量がゼロとみなされ、温対法の排出量報告や社内の脱炭素目標にも活用できます。太陽光発電設備の導入には数百万〜数千万円規模の初期投資と設置スペースが必要ですが、証書であればその負担は一切ありません。
特にFIT非化石証書は1kWhから購入可能で価格も安価なため、まとまった予算を確保できない中小企業から、大量調達を行う大企業まで幅広く活用されています。
メリット②:RE100・CDP・SBTiなど国際イニシアチブへ対応できる
トラッキング付きFIT非化石証書を取得することで、RE100・CDP・SBTiへの対応が可能になります。
国際イニシアチブへの対応は、ESG投資家からの評価を得るうえでも、大手企業のサプライチェーン要件を満たすうえでも欠かせません。近年は取引条件としてCO2削減実績の提出を求める企業が増えており、対応の可否が受注機会に直結するケースも出てきています。
ただし、イニシアチブごとに要件は異なります。RE100は「FIT証書かつ運転開始15年未満」という条件があるため、購入前に自社が参加するイニシアチブの要件を必ず確認しましょう。
メリット③:脱炭素経営のPRとブランド価値向上につながる
非化石証書の活用により、環境に配慮した企業であることを対外的に証明できます。
ESG報告書や統合報告書での開示、取引先へのCO2削減実績の提示、自社サイトやIR資料での発信など、活用の場面は幅広くあります。脱炭素への取り組みは、ブランドイメージの向上だけでなく、環境意識の高い若手人材の採用面でもプラスに働きます。
さらに、FIT非化石証書の売上は再エネ賦課金の原資に充てられるため、購入すること自体が社会全体の再エネ普及に貢献するという側面もあります。単なるコストではなく、社会的意義のある投資として社内説明しやすい点も見逃せません。
非化石証書の注意点
非化石証書には多くのメリットがある一方、価格変動・要件・有効期限といった導入前に知っておくべき注意点もあります。
想定外の追加コストや「買ったのに報告に使えない」という事態を避けるため、次の3点は必ず押さえておきましょう。
価格が定まっていない

画像出典:環境ビジネスオンライン
非化石証書はオークションで取引されるため、時期によって落札価格が大きく動きます。実際の変動例が以下です。
| 時期 | 需給状況 | 価格 |
|---|---|---|
| 2022年度後半(第3・4回オークション) | 需給ひっ迫、約定量は限定的 | 最高値1.3円/kWh |
| 2023年度第1回オークション | 需給回復、約定量は過去最高水準 | 最低値0.6円/kWh |
非化石証書はオークション形式で取引されるため、需給バランスや時期によって価格が大きく変動します。上表のとおり、わずか1年で価格が半分以下になった例もあり、中長期の予算計画を立てにくい点はデメリットといえます。
長期利用を前提とする場合は、調達タイミングと調達量を分散させ、価格変動リスクを平準化する対応が有効です。年度単位で一括購入するのではなく、複数回に分けて調達する方法も検討しましょう。
RE100にはトラッキング付き・15年未満の電源が必要
RE100を目指す企業は、すべての非化石証書が使えるわけではない点に注意が必要です。
RE100の技術要件では、「トラッキング付き」であること、かつ「運転開始から15年以内の電源」であることが条件とされています。トラッキングとは、証書がどの発電所のいつの発電分に由来するかを紐づける情報のことで、付与には追加の手続きや費用がかかる場合があります。
条件を満たしていない証書を取得しても、RE100への報告には使用できません。「安いから」という理由だけで選ぶと、購入し直しになる可能性があります。購入前に必ず条件を確認しましょう。
転売不可・使用期限がある
購入した非化石証書は転売できません。株式や商品先物のように、値上がりを見込んで購入し売却益を得るといった使い方はできない仕組みです。
さらに、証書には使用できる期限(有効期限)が設けられています。期限を過ぎた証書は失効し、報告に使えなくなります。必要量を超えて購入すると、そのまま無駄なコストになってしまいます。
こうした事態を避けるには、年間使用電力量をもとに必要なkWh数を事前に正確に算出し、有効期限内に計画的に無効化・報告まで完了させることが重要です。使用量の見込みに不安がある場合は、少量から段階的に調達するのが安全です。
非化石証書の購入方法

非化石証書を企業が取得する方法は、①直接購入、②電力とセット購入、③代行サービスの利用の3つです。
購入規模・社内の手続きリソース・急ぎ度合いによって最適な方法は変わります。以下の比較表を参考に選択してください。
| ①直接購入する | ②電力とセットで購入する | ③代行サービスを利用する | |
|---|---|---|---|
| 購入先 | JEPX非化石価値取引市場・発行事業者 | 電力会社の再エネプラン等 | 調達代行業者 |
| 手続きの手間 | 大きい(会員登録・入札管理) | 小さい(電力契約の切替のみ) | ほぼ不要 |
| 向いている企業 | 大量購入する大企業 | 電力契約の見直しも検討したい企業 | 手間をかけず少量から始めたい企業 |
① 直接購入する
JEPXの非化石価値取引市場に会員として参加し、オークションで直接購入する方法です。
仲介手数料がかからないため、大量に調達する場合は単価を最も抑えられる可能性があります。一方で、会員登録には入会費・年会費が必要で、オークションの開催スケジュール管理や入札価格の判断、約定後の口座管理まで自社で行わなければなりません。
価格が変動するオークションで適切に落札するには、市場動向を継続的にウォッチする体制も求められます。そのため、まとまった購入量が見込まれ、専任担当を置ける大企業向けの方法といえます。
② 電力とセットで購入する
電力会社が提供する「非化石証書付き電力プラン」に契約を切り替え、電力と環境価値をまとめて調達する方法です。
証書の購入・管理を電力会社が代行してくれるため、自社で証書を個別に管理する手間がかかりません。電気料金の請求書に一本化されるので、社内の経理処理もシンプルになります。
ただし、選べるプランや電力会社は限られます。また、契約全体が対象となるため「一部拠点だけ」「必要な分だけ」といった柔軟な調整はしにくく、証書の種類やトラッキングの有無を自社で選べないケースもある点には留意が必要です。
③ 代行サービスを利用する
手続きの手間を省きたい企業には、調達代行サービスの利用が最も手軽な方法です。
代行業者が購入・申請・管理を一括して担うため、社内リソースをほとんど使わずに証書を取得できます。JEPXへの会員登録も不要で、必要な量だけをスポットで調達できる柔軟性も魅力です。電力契約を切り替える必要がないため、既存の電力会社との関係を維持したまま脱炭素を進められます。
業者選びのポイントは、少量から購入できるか、費用体系が明確か、複数種類の証書を比較検討できるかの3点です。
非化石証書の導入事例
非化石証書は、製造業・情報通信業・不動産業など業種を問わず、多くの企業の脱炭素施策に組み込まれています。
ここでは、公表されている大手3社の取り組みを紹介します。いずれも証書単独ではなく、PPAや自家発電と組み合わせている点が共通しています。
| 企業 | 業種 | 主な取り組み |
|---|---|---|
| 株式会社リコー | 製造業 | バーチャルPPAと非化石証書の購入で再エネ比率を約26%から50%へ引き上げ(2030年度目標) |
| 株式会社NTTドコモ | 情報通信業 | オフサイトPPA+非化石証書で拠点の実質再エネ比率100%を実現、「グリーン5G」を展開 |
| 野村不動産ホールディングス株式会社 | 不動産デベロッパー | RE100加盟。トラッキング付き非化石証書の調達により賃貸資産・分譲マンションの電力を実質再エネ化 |
製造業の導入事例:株式会社リコー
リコーは、バーチャルPPA(電力購入契約)と非化石証書の購入を組み合わせる形で、再エネ電力の調達を開始しました。
工場を多く抱える製造業は電力使用量が大きく、自家発電だけで再エネ比率を高めるには限界があります。そこでリコーは、2030年度に使用電力の再エネ比率を当時の約26%から50%まで高める目標を掲げ、不足分を証書で補う方針を打ち出しました。
自社設備の導入と証書調達を併用することで、目標達成の確実性を高めている点が参考になる事例です。
出典:日本経済新聞「リコー、『非化石証書』を購入 再エネ比率30年度5割へ」
情報通信業の導入事例:株式会社NTTドコモ
NTTドコモは「2030年カーボンニュートラル宣言」のもと、再エネ指定の非化石証書を活用した実質再エネ電力を「グリーン5G」として展開しています。
通信キャリアは基地局やデータセンターで膨大な電力を消費するため、電力の脱炭素化が経営課題に直結します。同社は岡山ビルにおいてオフサイトPPAと非化石証書を組み合わせ、消費電力の実質再エネ比率100%を実現。年間約1万トンの温室効果ガス削減効果を見込んでいます。
環境価値を自社サービスのブランド(グリーン5G)として打ち出している点も、PR活用の好例といえます。
出典:NTT技術ジャーナル「NTTドコモ『2030年カーボンニュートラル宣言』を発表」、NTTドコモ報道発表資料
不動産デベロッパー業:野村不動産ホールディングス株式会社
野村不動産ホールディングスは2022年にRE100へ加盟し、2050年までにグループの使用電力を100%再エネにする目標を掲げています。
不動産業では、自社オフィスだけでなく賃貸資産や分譲マンションといった「保有・供給する建物」の電力も対象になる点が特徴です。同社は物流施設の太陽光発電による環境価値に加え、トラッキング付き非化石証書を調達することで、これらの電力を実質再エネ化する取り組みを進めています。
RE100要件を満たすトラッキング付き証書を選定している点は、同じくRE100を目指す企業にとって参考になります。
出典:野村不動産ホールディングス プレスリリース「野村不動産グループ、脱炭素社会の実現に向けた取組みを加速」、Sustainable Brands Japan「国内初、電気・ガスともCO2実質排出量ゼロの分譲マンション」
非化石証書の調達代行ならOFFSEL(オフセル)に丸投げ!
OFFSEL(オフセル)は、非化石証書をはじめとする環境価値証書の売買をワンストップで支援するマーケットプレイスです。
FIT非化石証書・J-クレジット・グリーン電力証書・I-RECなど5種類の証書を一元的に取り扱っているため、「Scope2は非化石証書、Scope1はJ-クレジット」といった最適な組み合わせを1社の窓口で完結できます。証書選びに迷う段階からのご相談も可能です。
強みは、業界最安値水準(FIT非化石証書0.411円/kWh〜)・1kWhから購入可能・申込書1枚で手続き完結・相談費用無料という4点。JEPXへの会員登録や入札管理は不要で、担当者の工数を最小限に抑えられます。海外拠点向けのI-REC(100カ国以上対応)にも対応しており、グローバルに展開する企業のCO2削減もまとめてサポートします。
シミュレーター
最低調達量:1 kWh〜
本シミュレーターは ¥4,500 / t-CO2 を参考値として使用
最低調達量:1,000 kWh〜
よくある質問(FAQ)
非化石証書の導入検討でよく寄せられる質問をまとめました。
Q. 非化石証書は誰が買うことができますか?
A. 種類によって異なります。FIT非化石証書は、条件を満たせば一般企業も再エネ価値取引市場を通じて直接購入できます。一方、非FIT非化石証書(再エネ指定あり・なし)は基本的に小売電気事業者のみが購入できる仕組みです。一般企業がすべての種類を自由に購入できるわけではない点に注意してください。手続きの手間を省きたい場合は、代行サービスの利用が現実的です。
Q. グリーン電力証書と非化石証書はどちらが良いですか?
A. 目的によって異なります。新規の再エネ電源の増設を後押しする「追加性」を重視するならグリーン電力証書が向いています。一方、コストを抑えてScope2削減や国際イニシアチブ対応を優先するなら、非化石証書(FIT)が適しています。流通量の面でも非化石証書のほうが大量調達に向いているため、自社の方針と必要量に合わせて選択してください。
Q. 非化石証書はRE100やCDPに使えますか?
A. 条件を満たせば使えます。RE100では「トラッキング付きFIT非化石証書」であり、かつ「運転開始15年未満の電源」であることが必要です。CDPは再エネ由来であればトラッキングなしでも計上できるなど、要件はイニシアチブごとに異なります。購入後に「使えなかった」となるのを防ぐため、対応したい制度の要件を先に確認しましょう。
Q. 非化石証書の価格は将来どうなりますか?
A. オークション形式のため、需給バランスにより変動します。2022年度後半は需給ひっ迫により1.3円/kWhまで上昇した一方、2023年度は需給回復により0.6円/kWhまで下落した実績があり、価格の予測は容易ではありません。長期的には脱炭素ニーズの高まりで需要増が見込まれるため、調達時期と量を分散させるリスク管理が有効です。
Q. 非化石証書はどのように計上しますか?
A. 購入した証書を自社の使用電力量とひも付け、権利確定手続き(無効化・償却)を行うことで計上します。手続きが完了した証書は再利用できず、CDPやCSR報告書、温対法の報告などに実績として記載する根拠となります。代行サービスを利用する場合は、この無効化手続きや証明書の発行まで代行してもらえるケースが一般的です。
まとめ
非化石証書は、CO2を排出しない電源で発電した電気の環境価値を証書化して取引できる、日本独自の脱炭素ツールです。設備投資も電力契約の切り替えも不要で、購入するだけでScope2排出量を削減できます。
3種類の証書はそれぞれ対象電源・価格・購入対象者が異なり、RE100やCDPへの対応を目指すなら「トラッキング付きFIT非化石証書」を選ぶのが基本です。一方で、価格変動・有効期限・転売不可といった注意点もあるため、年間使用電力量をもとに必要量を見極めたうえで計画的に調達しましょう。
非化石証書の調達をコストを抑えてスムーズに進めたい場合は、5種類の証書を一元的に取り扱うOFFSEL(オフセル)へご相談ください。1kWhから購入可能・業界最安値水準・申込書1枚で手続き完結と、担当者の工数を最小限に抑えた調達支援を提供しています。
シミュレーター
最低調達量:1 kWh〜
本シミュレーターは ¥4,500 / t-CO2 を参考値として使用
最低調達量:1,000 kWh〜
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編集者
imaoka



