カーボンニュートラルとは?脱炭素との違いや2050年までの目標・取り組み内容を解説
- CO2削減
温室効果ガスの全体量を実質ゼロにする計画「カーボンニュートラル」が世界各国で推進されています。カーボンニュートラルを簡単にいうと、排出される温室効果ガスの全体量を実質ゼロにすることを指します。
排出せざるをえなかった分については同じ量を「吸収」または「除去」することで、差し引きゼロを目指しているのが特徴です。
「カーボンニュートラルってなに?」
「具体的にカーボンニュートラルはどういった取り組みなの?」
「脱炭素との違いについて詳しく知りたい」
このような疑問を持っている方も多いでしょう。
この記事では、カーボンニュートラルの概要・脱炭素との違い・加速の背景・各国の取組状況などを紹介します。
目次
カーボンニュートラルとは?
カーボンニュートラルというのは、排出される温室効果ガスの全体量を実質ゼロにすることを目指す計画です。
温室効果ガスの排出を完全に止めるというのは不可能に近いため、排出される温室効果ガスを吸収または除去することで、差し引きゼロにすることが目的です。
カーボンニュートラルは直訳すると「炭素中立」で、「差し引いてゼロにする」という考えを意味しています。
それを達成するために、温室効果ガスの総量を大幅に減らすことを第一目標に掲げ、植林や森林管理などを進めることによって、大気中のCO2の吸収を促進するなどの取り組みをしています。
日本では、2020年10月に当時の総理大臣・菅義偉氏が所信表明の中で「2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにする、2050年カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しました。
2021年4月には、2030年度への目標として、温室効果ガスを2013年度比で46%削減を目指し、50%削減達成に向けて挑戦し続けると表明しています。
CO2の排出量ゼロを目指しつつも排出自体を許容していることを矛盾と指摘する声もありますが、「吸収と除去を実施して実質ゼロにできれば問題ない」という意見が多いです。
(参考:経済産業省・資源エネルギー庁「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?)
(参考:環境省「地球温暖化対策計画(令和3年10月22日閣議決定)」)
カーボンニュートラルと脱炭素の違い
カーボンニュートラル(炭素中立)と脱炭素は「炭素をゼロにする」という共通の目標を掲げていますが、ゼロにするための過程や最終目標が異なります。
脱炭素は、CO2の排出量ゼロを実現させることです。
高度経済成長に伴って1960年代以降に環境汚染が拡大したため、1972年に初めて環境問題を議題にした国際会議が開催されました。
その後、1997年に京都議定書が採択、2015年にはパリ協定が採択され、多くの国で脱炭素社会に取り組むための会議や取り決めが行われるようになりました。
脱炭素は、CO2排出をゼロにするのが目標です。それに対し、カーボンニュートラルはCO2・メタン・フロンガス・一酸化二窒素を含む温室効果ガスが森林などの吸収量を超過しないようにするのが目標なのです。
そのために、脱炭素プロジェクトでは待機電力などの無駄な電力消費の減少・ガソリンの使用量の削減などを実施しています。
カーボンニュートラルプロジェクトでは、植林・森林の吸収作用を保全するために森林の管理などを行っています。
目標を達成するための具体的な取り組みの内容は、記事後半で紹介します。
カーボンニュートラルとゼロカーボンの違い
ゼロカーボンは、カーボンニュートラルと同じ意味です。
つまり、二酸化炭素の排出量を、植林や森林管理などによる吸収量を差し引いて、排出量を実質ゼロにすることを指します。
海外では、ネットゼロと呼ばれることもあります。
関連記事:ネットゼロとは?カーボンニュートラルとの違いや日本企業の取り組み事例を解説
そもそも温室効果ガスとは?
政令で定めるハイドロフルオロカーボンの成分・ハイドロオロカーボンの成分も含めた7種類のガスが「温室効果ガス」です。
地球温暖化に影響しているガスですが、同時に地表を温める大切な役割を担っており、気象庁は「温室効果ガスがゼロになると地球の表面温度は-19度になる」としています。
それぞれのガスの主な発生源は、下記の通りです。
- CO2:化石燃料(石油・石炭など)・木・プラスチックの燃焼
- 一酸化二窒素: 窒素肥料の製品製造などの工場での活動
- メタン: 天然ガスの採掘・水田・家畜のゲップや排泄物
- 六フッ化硫黄・三フッ化窒素・ハイドロフルオロカーボン・パーフルオロカーボン:オゾン層を破壊するフロンの代替品として開発・精製された代替フロン
カーボンニュートラルを目指すメリット
ここからは、カーボンニュートラルを目指すメリットを3つ紹介します。
- 地球温暖化を抑制できる
- 社会的な企業のイメージが向上する
- 資源を後世へ残せる
地球温暖化を抑制できる
カーボンニュートラルを地球規模で取り組めば、地球温暖化の原因の一つであるCO2の排出が減少できます。
温室効果ガスの70%以上は、人の活動から排出されているCO2です。再生エネルギーや省エネなどを使用することでCO2の排出を減らしていくことは、地球環境においてもとても好影響を与えると言えるでしょう。
社会的な企業のイメージが向上する
企業がカーボンニュートラルに取り組むことで、企業のイメージの向上が期待できるでしょう。
とくに、地球環境と住民や地域と共生する姿を見せることにより、企業のイメージがアップし将来的に商品やサービスの売上向上が期待できます。
企業のイメージを向上させるには、環境配慮や製品製造に関する環境負荷の見える化が求められるでしょう。
資源を後世へ残せる
私たちが住む地球の資源は無限にありません。具体的には、石油はこれまでのペースで使い続けてしまうと、30年〜50年後には、枯渇すると言われているのが特徴です。
このような問題解決として、カーボンニュートラルに取り組めば、石油やガソリンなどの経済社会のエネルギー源を後世に残すことができるでしょう。
また、化石燃料の使用量も削減されるためCO2排出量削減効果も期待できます。
カーボンニュートラルに関する課題・デメリット
ここからは、カーボンニュートラルの関する課題・デメリットを3つ紹介します。
- 国家に格差が生まれてしまう
- 発電コストがかかってしまう
- ノウハウや人材が不足している
国家に格差が生まれてしまう
国別のCO2排出量は、「生産」ベースで計測されているのが特徴です。この計測方法だと先進国に有利に働き、開発途上国には不利にはたらく可能性が高いでしょう。
理由として、発展途上国はインフラ整備のためにCO2排出量が増加している・化石燃料への依存度が高いことなどが挙げられます。また、他国へ輸出する製品の生産過程で排出されるCO2も、工場を保持している発展途上国の排出量として計測されてしまうのです。
発電コストがかかってしまう
日本では、2030年にCO2削減目標を26%から46%に引き上げされています。
過去のこれまでの太陽光発電導入実績から見ると、CO2削減1%あたり毎年1兆円の費用が必要となってくるでしょう。計算すると、毎年20兆円の費用が追加で必要となります。
ほかにも、「RITE」の報告によれば、2050年のCO2排出ゼロのためのコストは年間約90兆円にもなると言われています。
このような金額は、国家予算と匹敵するため、温暖化対策のためだけに巨額のお金を使うのは現実的ではありません。
ノウハウや人材が不足している
企業がカーボンニュートラルに取り組む場合、脱炭素に必要なノウハウや人材が不足しており、自社のみで取り組みを進めていくことが難しいでしょう。
ほかにも上記でも紹介しましたが、省エネ化や再エネの導入には多大な初期費用がかかったりする場合あります。
2024年現在、日本ではカーボンニュートラルを肯定的に考えている人は、まだまだ少ない印象あります。
カーボンニュートラルの動きが加速している背景
カーボンニュートラルは、地球温暖化が問題視されるようになって以降加速しています。
2021年2月にアメリカがパリ協定に復帰したのを機に、さらに加速しました。
カーボンニュートラル加速の背景にある京都議定書とパリ協定について解説します。
京都議定書の採択
京都議定書は、1997年に開催された国連気候変動枠組条約第3回締約国会議で採択された、温暖化への国際的な取り組みのための国際条約です。会議が京都で開催されたため、この名称になりました。
世界が温室効果ガス排出量の減少について交わした初めての取り決めとしても注目されています。
取り決めの内容は「温室化ガスの排出量を、基準年と定めた1990年と比較して2008年から2012年の間に約5%削減すること」でした。
日本政府は排出量6%、アメリカは7%、EUは8%削減という目標を約束し、アメリカは未達成のまま脱退していますが、日本は目標を達成させました。
しかし、日本は、京都議定書が発展途上国に削減を義務付けていないことに対して納得できないことを理由に、2013年から2020年の第2約束期間に参加しませんでした。
京都議定書の意義を疑問視する声もありますが、世界で初めて温室効果ガス排出量を国ごとに管理して削減するシステムを築くように促したという意味で、京都議定書の意義は十分にあったと言えるでしょう。
参考:WWFジャパン「京都議定書とは?合意内容とその後について」
パリ協定の採択
パリ協定は、2015年にフランス・パリで開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で合意され、2016年に採択されました。
主導したのはアメリカと中国で、協定の内容は「世界の平均気温を産業革命以前よりも2度より十分低くし、1.5度に抑える努力をする」というものです。
京都議定書は発展途上国に適用されず、アメリカが途中で脱退するという問題が発生しました。しかし、パリ協定は先進国・途上国を問わず、全世界の国で共通する目標で、地球温暖化対策において基本の方針として定められました。
できるだけ早い段階で世界の温室効果ガス排出量を上限にして、21世紀後半には温室効果ガスと吸収量のバランスをとるのが、パリ協定の目標です。
京都議定書には目標達成できなかった際の罰則が設けられていましたが、パリ協定には罰則がありません。先進国より目標達成が難しい途上国への資金支援なども行われています。
地球温暖化が深刻に
「脱炭素化が急務」と叫ばれるようになった原因は、地球温暖化が深刻になったことです。
18世紀のイギリスの産業革命を機に産業・科学技術が急速に発展しましたが、それによって二酸化炭素の排出量が激増しました。温室効果ガスの排出量は増加の一途をたどり、2010年から10年で気温上昇のペースが上がっています。
気温が上昇したことにより、世界各国で異常気象などが確認され、地球温暖化に対する危機感は年ごとに高まっています。
地球温暖化によって起こっている地球上の異変を見ていきましょう。
世界各地での異常気象
2022年に世界各国で記録された国ごとの異常気象をご覧ください。
アメリカ
8月に1200年ぶりの干ばつで推定406億3,300万円の損害を出しました。
12月にはニューヨークで数日間雪が降り続き、24時間の降雪量が観測記録を更新しています。
インド
3月中旬から熱波に襲われ、5月中旬には50度近くまで気温が上昇し、記録史上、インド全体の平均気温が最も高くなっています。
降雨量は3番目に少なく、熱波警報が何度も発令されました。
オーストラリア
7月にシドニーで4日間に800ミリの雨が降ったことで洪水が発生し、5万人が避難しました。
日本
1月下旬から2月にかけて、日本上空に入った強い寒気により、北日本・日本海側の地域を中心に記録的な大雪となりました。特に、滋賀県から岐阜県にまたがる地域と札幌市の周辺の降雪量が多く、岐阜県関ケ原町は降雪記録を更新しています。
6月は147年ぶりの猛暑を観測し、観測史上最長の9日連続猛暑を記録しました。
パキスタン
9月に起こった洪水で国土の1/3が水没するという被害が発生しました。
この被害を受けて、パキスタン政府が「被害は気候変動によるもの。温室効果ガス全体の1%しか排出していない我が国がこういった被害に見舞われるのは不平等」と表明しています。
ブラジル
5月の集中豪雨によって北東部で洪水と地すべりが起こり、100人以上の死者を出しています。
南アフリカ
4月に南アフリカのクワズール・ナタール州で60年ぶりの豪雨によって洪水や土砂崩れが発生し、甚大な被害を出しました。
参考:グリーンピース・ジャパン「2022年に起こった世界の異常気象」
海の温度が上昇
地球温暖化は、海の温度の上昇にも大きく影響します。
太陽の熱を吸収した温室効果ガスがその熱を地表に閉じ込めるために大気の温度が上がると共に、その熱が海にも吸収されて海の温度も上昇するからです。
EUのコペルニクス気候変動サービスは、2023年8月1日の地球の平均海水温が、2016年の最高記録を更新して20.96度に達したと発表しました。
同年同月の日本各地でも、海面水温が過去最高記録を超えています。特に上昇したのは関東南東方と四国・東海沖と沖縄東で、関東南東方は平年より1.6度、四国・東海沖は1.7度、沖縄東は2.1度高い水温でした。
海の温度が上がることにより、豪雨などの水害が発生します。また、魚などの海洋生物にストレスを与えたりすることで、水産業が少なからぬダメージを受ける可能性が高いです。
温度上昇による生態系破壊
温度上昇は生態系も破壊します。気温の変化に敏感な植物・生物が気温の上昇に耐えられないからです。
IPCCが発行した地球温暖化に関連する報告書・IPCC第4次評価報告書には「今世紀末に地球の平均気温は約1.8度から4.0度上昇する」という予測が記述されています。
さらに「世界の平均気温が1.5度から2.5度以上上昇した場合、植物及び動物の約20%から30%の絶滅リスクが増加する可能性が高い」という予測もありました。「4度以上上昇した場合には、地球規模で40%以上の種の絶滅を招く」とも記されています。
日本においては、環境の変化に弱い大小の島・沿岸部・亜高山と高山地帯などに生息している生態系は、特に深刻な影響を受ける可能性が高いとされています。
カーボンニュートラルにより再エネ比率がさらに上がる
脱炭素化を目指し、再生可能エネルギーはさらに普及しています。
経済産業省・資源エネルギー庁が公開している再生可能エネルギー発電比率の国際比較のグラフをご覧ください。
出典:IEA Market Report Series – Renewables 2021(各国2020年時点の発電量)、IEA データベース、総合エネルギー統計(2020年度確報値)等より資源エネルギー庁作成
グラフ出典:経済産業省・資源エネルギー庁「日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」
火力発電の原料は化石燃料で、CO2を排出する・将来枯渇する有限資源というデメリットがあります。しかし、再生可能エネルギーはCO2の排出量が少なく、繰り返して使い続けられるというのがメリットです。
日本では、ほとんどの化石燃料を輸入に頼っているので、国際情勢が不安定になると燃料が高騰する危険性があります。しかし、再生可能エネルギーによってエネルギーの自給率を高めれば、安全なエネルギーを安定して供給することが可能です。
日本の2020年度の再生可能エネルギー電力比率は約19.8%で、グラフ上で2番目に低い比率です。
しかし、再生可能エネルギー発電設備容量は世界第6位で上昇傾向にあります。太陽光発電は世界第3位になっているので、今後の見通しは明るいと予想できます。
参考:経済産業省・資源エネルギー庁「日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」7.再エネ」
カーボンニュートラルに向けた日本の動向
日本政府が2010年10月に「2050年にカーボンニュートラルと脱炭素社会の実現を目指す」と宣言したのは前述の通りですが、その後具体的にどういった動きをしているのかを解説します。
エネルギーミックス
エネルギーミックスは、多様な発電方法を組み合わせて社会全体に電気を供給することを表す言葉で、電源構成という名称でも呼ばれています。
日本国内で活用されている発電方法は、火力発電・原子力発電・水力発電・太陽光発電などですが、どれもメリットと共にデメリットがあります。
発電方法をいずれかに統一すると、その発電方法が使えなくなったときのリスクが大きすぎるため、単一の発電方法ではなくエネルギーミックスが必要なのです。
日本は「エネルギー消費が高いのにエネルギー自給率が10%に満たない」という大きなデメリットを抱えている国なので、エネルギーミックス推進が求められています。
現在の電気供給は火力発電からの電力が約80%だと資源エネルギー庁が公表しています。そのため、2030年に向けて「S+3Eをバランスよく実現可能なエネルギーミックス」を目指す第5次エネルギー基本計画を立てました。
「S+3E」は4つの英単語のイニシャルを組み合わせた名称で、Sは安全性(Safety)、3Eは安定供給(Energy security)と経済性(Economic efficiency)と環境(Environment)を意味します。
この計画を実現するために、省エネ施策を進め、再生可能エネルギーの導入をさらに推進しているのです。
カーボンプライシング
カーボンプライシングは、企業などが排出するカーボン・炭素に価格を設定し、排出者の行動を変化させることを目的にした政策手法です。
資源エネルギー庁が作成したカーボンプライシングの分類表をご覧ください。
参考:経済産業省・資源エネルギー庁「脱炭素に向けて各国が取り組む「カーボンプライシング」とは?」
世界各国で導入されている代表的なカーボンプライシングは、排出量取引制度(ETC)です。排出量取引制度は、企業ごとに排出量の上限を定めた上で、上限を超えた企業と上限以下の企業との間でCO2排出量を取引する制度です。
炭素税を導入する国も増え続けており、イギリス・ドイツ・スウェーデン・フィンランド・フランスでは炭素税と排出量取引制度を実施しています。
日本でも、カーボンプライシング制度が本格的に導入されようとしています。2023年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」により、化石エネルギーからクリーンエネルギーに切り替えるグリーントランスフォーメーション実現に向け、成長志向型カーボンプライシング構想が立てられています。
ゼロカーボンシティ
ゼロカーボンシティというのは「2050年までにCO2の排出量を実質ゼロにすることを目指す」と表明した自治体を表す言葉です。
2021年8月までにゼロカーボンシティ表明を行ったのは444の自治体で、表明した日本の自治体(40都道府県と268市)も、イーズ未来共創フォーラムの記事「ゼロカーボンシティ宣言をした日本の自治体」で確認できます。
ゼロカーボンシティ宣言をすることで、自治体は地域活性化と地域貢献ができると共に、環境省から「自治体の気候変動対策や温室効果ガス排出量等の現状把握支援」などの支援を受けられるという利点があります。
CO2の排出量削減のために再生可能エネルギー導入が必須となり、再生可能エネルギー導入によって地域の産業・雇用が創出され、経済波及効果上昇が見込めるのも、かなり大きなメリットです。
カーボンオフセットでもゼロカーボンシティが実現する
カーボンオフセットというのは、温室効果ガス排出の削減努力をしても排出される温室効果ガスを、排出量に匹敵する温室効果ガス削減活動に投資するなどで、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考えです。
カーボンオフセットでもゼロカーボンシティは実現します。
ゼロカーボンシティ宣言を行った埼玉県所沢市の実例を挙げます。所沢市では、ゼロカーボンシティ実現を目指すため、市内イベントなどで排出されるCO2量を、クリーンセンターでCO2の排出削減を実現した分を活用することで、実質ゼロにする取り組みを実施中です。
参考:環境省「J-クレジット制度及びカーボン・オフセットについて」
参考:所沢市「カーボンオフセットの取組み」
カーボンオフセットを始めるなら「OFFSEL(オフセル)」に相談
カーボンオフセットを始めるなら、まずは環境価値調達代行サービスに無料相談してみるのがおすすめです。
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環境価値の調達のための価格交渉や入札、事務作業などの面倒な手続きは、すべてオフセルに任せられます。
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脱炭素化のための世界・日本企業の取り組み事例
脱炭素化を目標に、世界企業・日本企業がさまざまな取り組みを推進しています。
その中で特に注目された世界企業・日本企業の取り組み事例を見ていきましょう。
世界企業の取り組み事例①O’right(オーライト)
O’rightは、台湾のヘアケアブランド企業です。
環境に衝撃を与えないCO2排出量ゼロの製品の研究開発を推し進めています。製品だけではなく、製造・グリーン建築などを実施し、温室効果ガスの検証・カーボンフットプリントとウォーターフットプリントのマネジメントを行いました。
企業では、太陽光パネルと風力タービンを備えて自家発電を行い、製品の製造過程で排出される水・雨水を回収し再利用するシステムを構築しています。
2011年には、中身もパッケージもまるごとオーガニックで統一したシャンプーを発売しました。
O’rightは「グリーンライフソリューションを永久に提供する」をモットーにした活動が世界的に注目を集め、RE100エンタープライジングリーダー賞を受賞しました。
今後の目標として「2025年までに使用電力の全てを再生可能エネルギーで賄う」と宣言しています。
参考:Blue Media「世界で目指す脱炭素社会!海外・国内の企業、自治体での取組事例は?」
参考:O’right「世界をグリーンに、CO 2排出量ゼロを目指すヘアケアブランド企業」
世界企業の取り組み事例②The Hershey Company
The Hershey Companyは、チョコレート菓子を中心に販売しているアメリカの菓子メーカーです。
製造に使用するカカオの全てを人権的なリスクが高いガーナ・コートジボワールなどの地域から調達しています。
The Hershey Companyは、CO2排出量削減のため、サプライチェーンマネジメントを積極的に進めています。同社のCO2排出量の90%以上を占める原材料生産・包装・物流を見直し、サプライチェーン内で持続させていくことが目標です。
CO2排出量の42%が原材料を生産する土地利用の変化が原因なので、土地利用の取り組みに着手し、2030年までに全ての原材料のサプライチェーンから森林破壊を撤廃することを目指しています。
2025年までに農業を長期的に持続させるため、森林破壊リスクが高い地域で作られたカカオだけを直接輸入しています。
こういったサプライヤーチェーン全体での取り組みを90ページ以上のESGレポートにまとめて公開し、他企業のレポートよりも透明度が高く、説得力があることで評価されました。
参考:INFOBAHN「【海外事例】進化するカーボンニュートラルの取り組み、企業はどう伝える?」
日本企業の取り組み事例①株式会社村田製作所
株式会社村田製作所は、岡山県瀬戶内市にある岡山村田製作所に日本で最大級のカーポート型太陽光発電パネルを導入しました。
約1年間の施工期間を経て完成した太陽光発電パネルは、上部から太陽光を採取するだけではなく、下部からの反射光も利用する両面パネルです。
この両面パネルにより、通常の太陽光パネルよりも発電効率を大幅に向上させました。
両面パネルは、施工を行ったオムロンフィールドエンジニアリングに提案されました。従来の片面パネルより投資コストが当然上がるものの、下部からの反射光が想像以上に効果が高く、面積効率が良いという面でも優秀だったので導入に至っています。
株式会社村製作所は、今後の展望について「環境負荷を下げていくことを大前提に、省エネと再生可能エネルギーの導入に取り組んでいきたい」と語っています。
参考:脱酸素ソリューション「両⾯パネルで発電効率向上 ⽇本最⼤級のカーポート型を導⼊」
日本企業の取り組み事例②セブン&アイグループ
セブン&アイグループは、2019年5月策定の環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」で「脱炭素社会」を目指しています。事業運営で発生するCO2の排出量を、2013年度を基盤に2030年までに50%、2050年までに実質ゼロにすることを目標に、省エネと再生可能エネルギー利用の拡大を推進しています。
同グループ各社のCO2排出量の約90%は、事業運営の際の電気使用が要因です。セブンイレブンでは「省エネ対策重点6項目」を制定し、ヨークでは省エネに効果がある5項目を記した「節電点検シート」を活用するなど、店舗ごとにCO2排出量を削減しています。
グループ各社で店舗のオープンや改装の機会にLED照明・太陽光発電パネルなどを導入し、環境負荷の増加を抑制しています。
2023年にはグループ横断で「省エネコンテスト」が催され、各社各店舗で実施した省エネ活動のチーム力・発案・継続性・独自の取り組みなどの項目を審査しました。
参考:株式会社セブン&アイHLDGS「地球環境に配慮し、脱炭素・循環経済・自然と共生する社会を実現する」
カーボンニュートラル実現のために私たちができること
カーボンニュートラル実現に向けて、個人ができることの代表的な方法を解説します。
- 電気の使用を控える
- 移動手段は公共交通機関・自転車などを利用する
- 植物を育てる・増やす
- 食品を無駄にしないようにする
- ゴミを減らす
上記の具体的な実現方法を見ていきましょう。
電気使用量は、TVを観ていないときは消す・使っていない部屋と廊下の電気を消す・エアコン使用を控えるなどの習慣をつけることでかなりの節電になります。
植物を育てたり増やしたりすれば、大気中のCO2の吸収率が上がり、空気もきれいになります。
食品を廃棄する際には想像以上のエネルギーが消費されるため、食品も捨てずに済む工夫が必要です。スーパーなどで食材を購入するとき、消費期限が近いものを購入することをおすすめします。
移動手段に車やバイクを使うと、消費されるガソリンによってCO2が排出されます。タクシーではなくバスや電車などの公共交通機関を使うことで、かなりのCO2を削減可能です。
ゴミの処分の際にも、膨大なエネルギーが必要で、処分時にCO2が排出されます。ゴミを減らせば省エネとCO2排出削減を同時に実現できます。
「個人でできることは少ない」と考えず、できることから少しずつ実行していきましょう。
まとめ
地球温暖化を食い止めるためのカーボンニュートラルは、世界各国でさまざまな形で導入・推進されていますが、目標達成にはまだまだ長い時間と多くの手間を要します。
国家や企業などにカーボンニュートラルの対策を任せるだけではなく、個人でもできることを実行し、カーボンニュートラルの実現に貢献しましょう。
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編集者
maeda