環境価値とは?取引理由やビジネスで購入・活用するメリットとデメリットをわかりやすく解説
- CO2削減

環境価値とは、「CO2を出さずに発電した」「CO2を減らした・吸収した」という価値を、電気やモノから切り離して取引できるようにしたものです。企業は環境価値を証書やクレジットとして買うことで、電力会社を変えずに、使った電気を再エネ扱いにしたり、排出量をオフセットしたりできます。
この記事では、環境価値の意味と仕組み、主な種類、企業が使う場面を整理します。相談の現場でよくある誤解もあわせて紹介します。
- 環境価値の意味を一言でいうと何か
- 電気から環境価値を切り離して取引する仕組み
- 非化石証書・J-クレジット・グリーン電力証書・I-RECの違い
- 温対法・CDP・RE100・取引先対応など、企業が環境価値を使う場面
- 「買えば排出量ゼロ」など、相談でよくある誤解
シミュレーター
最低調達量:1 kWh〜
本シミュレーターは ¥4,500 / t-CO2 を参考値として使用
最低調達量:1,000 kWh〜
環境価値とは?わかりやすく一言でいうと

環境価値とは、CO2を出さない・減らしたという「環境へのよさ」に付いた価値のことです。
太陽光や風力など再生可能エネルギーで発電した電気には、2つの価値があります。
- 電気そのものの価値:照明や機械を動かせるという価値。化石燃料で発電した電気にもある
- 環境価値:発電のときにCO2を出していないという価値。再エネなど非化石電源の電気にだけある
このうち環境価値だけを切り離し、証書にして売り買いできるようにしたのが「環境価値の証書」です。
環境価値には、もう1つの種類があります。省エネ設備の導入や森林の管理などで減らした・吸収したCO2の量を、国が認証した「クレジット」です。電気の証書とクレジットは、単位も使い道も違います。違いは「環境価値の種類」で説明します。
環境価値の仕組み|電気と切り離して取引する
環境価値は電気と別々に流通するため、電力会社との契約を変えなくても、証書だけを買えば使えます。
電力の契約を変えなくても使える理由
送電網の中では、再エネの電気も火力の電気も混ざって届きます。どの電気が自社に届いたかは区別できません。そこで、環境価値を証書という形で切り離し、証書を持っている企業が「その量の再エネを使った」と主張できるようにしています。
そのため、今の電力会社のまま証書を買えば、その分の電気を再エネ扱いにできます。賃貸オフィスのように電力契約を自社で変えられない場合も、同じ方法が使えます。
ダブルカウントを防ぐ「無効化」
同じ環境価値を2社が使うと、CO2の削減が二重に数えられてしまいます。これを防ぐため、使った証書やクレジットは無効化(償却)して、二度と使えない状態にします。
無効化したことを示す書類が「証憑」です。報告や取引先への説明では、この証憑が環境価値を使ったことの証明になります。
証憑の扱いは「環境価値の証憑と報告」で詳しく解説しています。
環境価値の種類|主な証書・クレジットの一覧
日本の企業がよく使う環境価値は、非化石証書・グリーン電力証書・J-クレジットの3つです。海外拠点ではI-RECなどが使われます。
| 種類 | 単位 | 何を証明するか | 制度の運営・認証 |
|---|---|---|---|
| 非化石証書 | kWh | 非化石電源(再エネ・原子力など)で発電した電気の環境価値 | 国の制度(資源エネルギー庁) |
| グリーン電力証書 | kWh | 再エネで発電した電気の環境価値 | グリーンエネルギー認証センターが認証 |
| J-クレジット | t-CO2 | 省エネ・再エネ・森林管理などで減らした・吸収したCO2の量 | 国の制度(経済産業省・環境省・農林水産省) |
| I-REC | MWh | 海外で再エネ発電した電気の環境価値 | I-TRACK Foundation |

非化石証書
非化石証書は、非化石電源で発電した電気の「CO2を出さない」という価値を、電気から切り離して証書にしたものです。次の3種類があります。
- FIT非化石証書(再エネ指定)
- 非FIT非化石証書(再エネ指定)
- 非FIT非化石証書(再エネ指定なし):原子力などが含まれ、「再エネ」とは表示できない
発電所の種類や所在地の情報を付けたものを「トラッキング付き非化石証書」と呼びます。RE100など、電源の情報が求められる報告で使われます。
グリーン電力証書
グリーン電力証書は、風力・太陽光・バイオマスなどの再エネで発電した電気の環境価値を、第三者の認証を受けて証書にしたものです。発電所がわかるため、どこで発電した再エネかを示しやすい点が特徴です。
J-クレジット
J-クレジットは、省エネ設備の導入、再エネの利用、森林の管理などで減らした・吸収した温室効果ガスの量を、国がクレジットとして認証する制度です。電気に限らず、燃料や社用車などの排出のオフセットにも使えます。
I-REC
I-RECは、海外で再エネ発電した電気の環境価値を証明する、国際的な電力証書です。オランダのI-TRACK Foundationが基準を定めており、アジア・中南米・アフリカなど多くの国で発行されています。 海外拠点の電気を再エネ扱いにしたいときに使います。
どの種類を選べばよいかは、報告先や対象の拠点で変わります。条件ごとの選び方と費用の比較は「環境価値の証書比較」で解説しています。
企業が環境価値を使う場面|活用方法

企業が環境価値を使う主な場面は、国への報告、国際イニシアチブへの報告、取引先からの要請への対応の3つです。
温対法の報告(SHK)
一定以上の温室効果ガスを出す事業者は、温対法にもとづいて排出量を国に報告します。非化石証書とグリーン電力証書は、買った電気の排出量を上限として、排出量から差し引けます。J-クレジットも報告に活用できます。
出典:環境省「温対法算定・報告・公表制度における証書の取扱い(2024年度報告以降)」
CDP・SBT・RE100などの国際イニシアチブ
投資家や取引先が見る国際的な枠組みでも、環境価値を使った再エネ調達を報告できます。ただし、使える種類は枠組みごとに違います。
| 枠組み | どんなものか | 使える環境価値の例 |
|---|---|---|
| CDP | 企業の気候変動などへの取り組みを調査・評価する国際的な非営利団体 | 非化石証書、グリーン電力証書、再エネ電力・熱由来のJ-クレジット |
| SBT | パリ協定に沿った科学的根拠のある削減目標を認定する枠組み | 非化石証書、グリーン電力証書、再エネ電力・熱由来のJ-クレジット(再エネ調達量の報告) |
| RE100 | 使う電力を100%再エネにすることを目指す企業の国際的な枠組み | トラッキング付き非化石証書、グリーン電力証書、再エネ電力由来のJ-クレジット |
出典:J-クレジット制度「CDP・SBT・RE100での活用」ほか。
RE100で使えるJ-クレジットは、再エネ電力由来のものだけです。省エネや森林由来のJ-クレジットは、RE100の報告には使えません。
取引先からの脱炭素の要請(サプライチェーン対応)
最近は、大企業が取引先にもCO2の削減を求めるケースが増えています。取引先から見ると、自社の排出はサプライチェーン全体の排出(Scope 3)の一部になるためです。
設備投資をすぐにはできない中小企業・中堅企業でも、環境価値なら使った電気の量に合わせて少額から対応を始められます。脱炭素を何から始めるか迷っている場合の、最初の一手として選ばれています。
環境価値でよくある誤解と注意点

OFFSELへの相談で、よく見られる誤解は次の4つです。
誤解1:環境価値を買えば、CO2排出量がゼロになる
kWh単位の証書で下げられるのは、買った電気に由来する排出(Scope 2)だけです。燃料や社用車などの排出(Scope 1)は残ります。電気以外も埋めたい場合は、J-クレジットなどのクレジットを使います。
誤解2:どの証書でも同じように使える
報告先によって、使える証書の種類が違います。たとえばRE100では、トラッキングのない非化石証書や、省エネ由来のJ-クレジットは使えません。買う前に、提出先がその証書を認めているかを確認してください。
誤解3:情報が多い証書ほど安心
反対に、必要以上の証書を選んでしまうケースもあります。「産地がわかる証書でないとダメ」と考えてグリーン電力証書を買ったものの、報告先の条件はトラッキング付き非化石証書で満たせていた、という例です。どこまでの情報が必要かを確認すれば、費用をおさえられることがあります。
誤解4:多めに買っておけば、あとで売れる
非化石証書は、購入した企業が自社で使う前提の証書で、転売できません。 必要な量を確認してから買うことが大切です。
知っておきたい「追加性」
追加性とは、その環境価値を買うことで、新しい再エネ設備が増えることにつながるかという考え方です。既存の発電所の証書を買うだけでは、再エネは増えないという指摘もあります。追加性を重視する企業は、新しい発電所からの電気を長期で買うPPAなどを組み合わせています。
環境価値の料金の目安と、安く買える理由
環境価値の料金は種類で大きく違い、kWh単位の非化石証書が最も単価をおさえやすい傾向があります。
| 種類 | OFFSELの掲載価格(2026年10月時点) |
|---|---|
| FIT非化石証書 | 0.411円/kWh〜 |
| グリーン電力証書 | 2.1円/kWh〜 |
| J-クレジット | 4,500円/t-CO2〜 |
出典:OFFSEL掲載情報(確認日2026年10月13日)。価格は変動します。
FIT非化石証書が安いのは、国のFIT制度で買い取られた再エネの電気から大量に発行され、国が運営する市場で取引されているためです。 一方、グリーン電力証書は第三者の認証や発電所の情報が付くぶん、単価が高めになります。
ただし、単価だけで選ぶと報告先で使えないことがあります。使い道に合った証書の中で比べてください。料金の詳しい比べ方は「環境価値の価格」で解説しています。
環境価値の買い方|電力プランか、証書の購入か
環境価値を手に入れる方法は、再エネプランの電気に切り替えるか、今の契約のまま証書を買うかの2つです。
- 再エネプランに切り替える:環境価値がセットになった電気料金プランを契約する。毎年同じ量を再エネにしたい場合に向く
- 証書・クレジットを買う:電力会社は変えずに、必要な量だけ買う。報告期限が近い、一部だけ再エネにしたい、複数の拠点をまとめたい場合に向く
証書は、再エネ価値取引市場やJ-クレジットの入札販売で直接買う方法と、仲介事業者を通して買う方法があります。直接の取引は参加の手続きや入札の手間がかかるため、少量の場合は仲介事業者を使う企業が多くなっています。
購入の手順は「環境価値の購入方法」、再エネプランとの比べ方は「再エネ調達の方法」で解説しています。
OFFSELで扱っている範囲
エレビスタ株式会社が運営するOFFSEL(オフセル)では、環境価値の購入を次の範囲でお手伝いしています。
- FIT非化石証書・J-クレジット・グリーン電力証書・海外の再エネ電力証書・カーボンクレジットの5種類
- 非化石証書・グリーン電力証書は1kWhから、J-クレジットは1t-CO2から購入できる
- グリーン電力証書・J-クレジットは、年間・複数年での調達にも対応(非化石証書は対象外)
- 使い道に合う証書の提案から、購入後の報告書の書き方まで支援
- 相談手数料はかからず、手数料は価格に含まれているため追加の請求はなし(振込手数料のみお客様負担)
サービスの詳細は「環境価値の購入」をご覧ください。
環境価値についてよくある質問
Q. 環境価値の「証書」と「クレジット」は何が違いますか?
証書(非化石証書・グリーン電力証書など)は、再エネで発電した電気の価値をkWh単位で示します。クレジット(J-クレジットなど)は、減らした・吸収したCO2の量をt-CO2単位で示します。証書は主に電気の排出、クレジットは排出全般のオフセットに使います。
Q. 電気の環境価値とは何ですか?
再エネなどで発電した電気が持つ「発電時にCO2を出していない」という価値です。電気そのものとは別に、非化石証書やグリーン電力証書として取引されます。
Q. 環境価値はどこで買えますか?
再エネ価値取引市場、J-クレジットの入札販売、証書の発行事業者、OFFSELのような仲介事業者から買えます。電力会社の再エネプランを契約する方法もあります。
Q. 環境価値は必要な分だけ買えますか?最低何kWhからですか?
買い方によります。OFFSELでは、非化石証書・グリーン電力証書は1kWhから、J-クレジットは1t-CO2から購入できます。
Q. 昨年度に使った電力にも証書を使えますか?
証書ごとに対象になる年度や、使える期限が決まっています。報告する年度と証書の対象年度が合っているかを、購入前に確認してください。
Q. 賃貸オフィスでも再エネ証書を使えますか?
使えます。証書は電力契約と切り離して買えるため、ビルのオーナーが電力会社と契約している場合でも使えます。そのオフィスで使った電気の量(kWh)がわかれば、必要な量を決められます。
Q. 複数の拠点の環境価値をまとめて買えますか?
まとめて買えます。拠点ごとの電気の使用量を合計して、必要な量を決めます。国内と海外の拠点がある場合は、それぞれに合った証書を組み合わせます。
Q. 環境価値を買いすぎたらどうなりますか?
非化石証書は転売できないため、使わなかった分は無駄になります。必要な量を確認してから買ってください。
Q. 買った後の報告方法がわからない場合は?
証書を無効化した証憑をもとに、報告先の様式に量と証憑の情報を記載します。OFFSELでは、報告書の書き方まで支援しています。
まとめ:環境価値とは、電気から切り離して使える「CO2を出さない価値」
環境価値とは、CO2を出さない・減らしたという価値を、証書やクレジットとして取引できるようにしたものです。
- 電力会社を変えなくても、証書を買えば使った電気を再エネ扱いにできる
- 主な種類は、非化石証書・グリーン電力証書・J-クレジット(海外はI-REC)
- 温対法・CDP・RE100・取引先対応などで使えるが、使える種類は報告先ごとに違う
- 買ったら無効化し、証憑を残して報告に使う
自社にはどの環境価値が合うのか、条件ごとの選び方と費用の違いは、次の記事で比べられます。
シミュレーター
最低調達量:1 kWh〜
本シミュレーターは ¥4,500 / t-CO2 を参考値として使用
最低調達量:1,000 kWh〜
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編集者
imaoka



