エネルギーミックスとは?S+3Eの意味・2030年目標・日本の現状と課題を解説

  • CO2削減
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エネルギーミックスとは、石油・石炭・天然ガス・原子力・再生可能エネルギーなど複数の発電方法を組み合わせ、社会全体に電力を安定供給する「電源構成」のことです。

近年、脱炭素・カーボンニュートラルへの注目が高まる中、エネルギーミックスは国の政策だけでなく企業の脱炭素戦略とも深く関わるテーマになっています。

この記事では、エネルギーミックスの基本的な意味から、日本が掲げる2030年の電源構成目標、現状の課題、企業としてできる対応策まで、わかりやすく解説します。


この記事でわかること
  • エネルギーミックスとは、火力・原子力・再エネなど複数の発電方法を組み合わせて電力を供給する「電源構成」のこと。「ベストミックス」とも呼ばれる
  • 日本のエネルギー政策の大原則「S+3E」は、Safety(安全性)・Energy Security(安定供給)・Economic Efficiency(経済効率性)・Environment(環境適合)の4要素のこと
  • 火力発電はCO₂排出が課題、再エネは供給不安定が課題、原子力は安全管理・廃棄物処理が課題。各電源を補い合うのがエネルギーミックスの本質
  • 2030年の目標は再エネ36〜38%・原子力20〜22%・火力41%。現状の再エネ実績は約20%前後で、目標との間に15〜18ポイントのギャップがある
  • 企業の脱炭素対応には、FIT非化石証書(0.411円/kWh〜)・Jクレジット・グリーン電力証書などの再エネ証書・カーボンクレジットが活用できる


この記事の監修者
河村 虎男
河村 虎男
エレビスタ株式会社 新規事業推進マネージャー
脱炭素アドバイザー
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専門領域
カーボンオフセット GHG排出量算定 SBT / CDP支援 JCM(2国間クレジット) 再生可能エネルギー
経歴
慶應義塾大学経済学部卒業後、三菱UFJリサーチ&コンサルティング サステナビリティ戦略部 環境チームにてサプライチェーン排出量算定・CDP回答支援・SBT取得支援・JCM事務局業務など50件以上のプロジェクトに従事。2024年よりエレビスタ株式会社に参画。
登壇:環境ビジネスオンライン「J-クレジット創出&売買実践講座」
OFFSEL
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エネルギーミックスとは?

エネルギーミックスの概念について紹介したイラスト

エネルギーミックスとは、火力・原子力・水力・太陽光など複数の発電方法を組み合わせ、社会に必要な電力を供給する仕組みのことです。「電源構成」や「ベストミックス」と呼ばれることもあります。

なぜ一種類の発電方法に統一しないのでしょうか。理由は明快です。どの発電方法にも長所と短所があり、完全無欠な発電方法が存在しないからです。

例えば、火力発電は安定しているものの、燃焼時に大量のCO₂を排出します。反対に、太陽光発電はCO₂を排出しませんが、天候によって発電量が変動します。

特定の発電方法だけに頼ると、燃料の価格高騰・自然災害・国際情勢の変化などで電力が途絶えるリスクがあります。複数の電源を組み合わせてリスクを分散し、安定した電力供給を実現するのがエネルギーミックスの本質です。

エネルギーミックスの言い換え・別名
  • 電源構成:政府・資源エネルギー庁の公式文書でよく使われる表現
  • ベストミックス:複数電源の「最適な組み合わせ」を意味する表現




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エネルギーミックスはなぜ必要なのか?

主要国の一次エネルギー自給率比較(2021年)

出典:資源エネルギー庁

エネルギーミックスが必要な背景には、日本のエネルギー事情の特殊性があります。

日本のエネルギー自給率は2021年度で約13.3%と、先進国の中でも際立って低い水準にあります。石油・石炭・LNG(液化天然ガス)のほぼ全量を海外からの輸入に頼っており、特定の燃料に依存すると、供給が止まったときに電力不足が直結します。

また、以下のような事情からも、複数の電源を組み合わせる必要があります。

  • 火力発電は安定しているが、CO₂排出量が多く環境課題がある
  • 再生可能エネルギーはCO₂排出ゼロだが、発電量が天候・季節に左右される
  • 原子力はCO₂を排出しないが、安全管理と廃棄物処理の問題がある

これらの弱点を互いに補い合うことで、安定・安全・環境的な電力供給を実現できます。これがエネルギーミックスを推進する根本的な理由です。



エネルギーミックスの基本原則「S+3E」とは?

「3E+S」を絵で示しています。「安全性(Safety)」の土台の上に、「エネルギーの安定供給(Energy Security)」「経済効率性(Economic Efficiency)」「環境への適合(Environment)」が乗っています。

出典:経済産業省

S+3Eとは、日本のエネルギー政策が掲げる4つの原則の頭文字を組み合わせた言葉です。エネルギーミックスを考える際の大原則として、政府・資源エネルギー庁が定めています。

要素 意味 内容
S Safety(安全性) すべての取り組みの大前提。安全を最優先に確保する
E1 Energy Security(安定供給) どんな状況でも電力を途絶えさせない
E2 Economic Efficiency(経済効率性) 電力コストを適正に保ち、国民・企業の負担を最小化する
E3 Environment(環境適合) CO₂排出を抑え、地球温暖化対策に貢献する

この4条件をバランスよく同時に満たす電源構成が、「ベストミックス(理想のエネルギーミックス)」とされています。

現状の主力である火力発電は「安定供給・経済効率性」に優れる一方、「環境性」に課題があります。一方で再生可能エネルギーは「環境性」に優れますが、「安定供給」に課題があります。どれか一つに偏らず複数を組み合わせることで、4条件を総合的に満たすのがエネルギーミックスの本質です。


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エネルギーミックスの理想は?各発電方法のメリット・デメリット

理想のエネルギーミックスとは、S+3Eの4要素をバランスよく満たす電源構成のことです。日本で使われている主な発電方法と、それぞれの特徴を整理します。

火力発電

化石燃料(石炭・石油・天然ガス)を燃焼させて発電する方法で、現在も日本の主力電源です。需要に応じた出力調整がしやすく、安定供給に優れます。ただし、燃焼時に大量のCO₂を排出するため、脱炭素政策の観点から削減が急務となっています。また、燃料の大半を輸入に頼っているため、国際情勢の影響を受けやすい弱点があります。

  • メリット:出力が安定している・需要に応じた調整が可能・大量発電できる
  • デメリット:CO₂排出量が多い・燃料の輸入依存リスク・価格変動の影響を受けやすい

より詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。
火力発電のメリット・デメリットとは?

原子力発電

ウランを燃料に核分裂反応のエネルギーで発電します。発電時にCO₂を排出せず、発電コストも比較的低い点が強みです。一方、2011年の東日本大震災以降、安全管理への要求水準が大幅に高まっています。使用済み核燃料の最終処理問題も、長期的な課題として残っています。

  • メリット:CO₂排出ゼロ・低コスト・安定した発電
  • デメリット:事故発生時の影響が大きい・核廃棄物の処理問題・再稼働の合意形成が難しい

より詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。
原子力発電のメリット・デメリットとは?

再生可能エネルギー

太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなど、自然から半永久的に得られるエネルギー源を使った発電方法の総称です。発電時にCO₂を排出しない点が最大の強みで、エネルギーの国産化にも貢献します。ただし、天候や季節に発電量が左右されるため、供給の安定性に課題があります。

種類 メリット デメリット
太陽光発電 設置しやすく普及が進む 天候・時間帯で発電量が変動する
風力発電 洋上では安定発電が期待できる 設備コストが高い・設置場所の制約がある
水力発電 エネルギー効率が高く出力調整が可能 新規大規模開発の余地が少ない
地熱発電 日本は世界3位の資源保有量 国立公園内の開発規制で普及が遅れている
バイオマス発電 カーボンニュートラルな性質を持つ コストが高く普及に課題がある

より詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。
再生可能エネルギーとは

2030年のエネルギーミックスの目標は?

2021年に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」では、2030年度に向けた電源構成の目標が定められています。

電源 2030年度目標
再生可能エネルギー 36〜38%
原子力 20〜22%
火力(LNG) 20%
火力(石炭) 19%
火力(石油等) 2%
水素・アンモニア 1%

再生可能エネルギーの目標比率は、従来の22〜24%から36〜38%へと大幅に引き上げられました

また、FIT制度(固定価格買取制度)に加え、2022年4月からFIP制度(フィードインプレミアム)を導入することで、再エネを市場に統合しながらコスト低減を図ることも計画に盛り込まれています。

ただし、2022〜2023年度の再エネ実績は約20%前後にとどまっており、目標との間には15〜18ポイント程度のギャップが依然として残っています




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日本のエネルギーミックスの現状と課題

日本が2030年のエネルギーミックス目標を達成するには、複数の構造的な課題を克服する必要があります。主な課題を整理します。

①再生可能エネルギーの導入加速と系統整備

太陽光・風力などを大量に導入するには、送電網(電力系統)の増強と蓄電技術の向上が不可欠です。現状では再エネが発電しても系統の容量が不足し、出力を抑制せざるを得ないケースが全国で増えています。

②原子力発電所の再稼働

2030年目標では原子力を20〜22%に位置づけています。しかし現状の稼働率は目標に遠く及びません。再稼働には原子力規制委員会の厳格な安全審査と、地域住民・自治体の合意形成が必要で、進捗には相応の時間がかかります。

③エネルギー自給率の低さ

化石燃料の輸入依存を下げ、国産の再エネ比率を高めることが自給率改善の核心です。ロシアのウクライナ侵攻をはじめとする地政学リスクが高まる中、エネルギー安全保障の観点からも自給率の向上は急務です。

④コスト負担の問題

再エネ拡大に伴うFIT賦課金(電気料金への上乗せ)など、国民・企業の負担増が政策上の制約になっています。発電コストの低減と国民負担の最小化を両立することが課題です。



世界のエネルギーミックスの現状

出典:資源エネルギー庁

エネルギーミックスの構成は、国の産業構造・地理的条件・エネルギー資源の有無によって大きく異なります。

欧州では再生可能エネルギーの比率が50〜70%を目標とする国が多く、日本の36〜38%目標と比べると、先行している状況です。中国は石炭への依存度が高いものの、太陽光・風力への投資は世界トップクラスで、急速に多様化が進んでいます。

発展途上国では初期投資の余力が少なく、比較的安価な化石燃料への依存度が高いままです。世界全体でエネルギーミックスを最適化するには、先進国による技術・資金面の支援も重要な課題です。


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エネルギーミックスと企業の脱炭素対応

エネルギーミックスの転換は、政府だけが取り組む課題ではありません。企業の脱炭素戦略とも直結する重要なテーマです。

企業の取り組み事例

リコーは、2021年3月、事業で使われる電力のうち、再生可能エネルギー比率の2030年度目標を30%から50%に引き上げました。

2019年度には中国・タイ・日本のA3複合機を組み立てている5工場を全て再生可能エネルギー化しています。

2020年度に実施した再生可能エネルギー導入の取り組みとそのCO2削減効果・再生可能エネルギー電力量もご覧ください。

取り組み内容 年間の
CO2削減効果
年間の
再エネ電力量
中南米12カ国の全22販売拠点のRE100化達成 約800トン 3.0GWh
リコーチャイナのRE100化達成 約400トン 0.6GWh
山梨電子工業・タイ生産拠点で太陽光パネルを導入、自家発電開始 約450トン 0.8GWh
Ricoh UK Products Ltd.で太陽光パネルを新設 約400トン 1.6GWh

(出典:RICOH「リコー、再生可能エネルギー使用率の2030年度目標を50%に引き上げ」

(参考:RICOH「リコー、再生可能エネルギー使用率の2030年度目標を50%に引き上げ」

再エネ証書・カーボンクレジットの活用

電源構成全体が変わるのを待つだけでなく、自社として積極的に再生可能エネルギーを調達する手段として注目されているのが、再エネ証書やカーボンクレジットの活用です。

自社で再エネ設備を導入しなくても、再生可能エネルギーの価値を取引・証明できる仕組みとして、以下のような手段があります。

  • FIT非化石証書:再生可能エネルギーの環境価値を証書として購入できる。0.411円/kWh〜と低コストで調達可能
  • Jクレジット:省エネや再エネ導入によるCO₂削減量をクレジット化したもの
  • グリーン電力証書:再生可能エネルギーで発電した電力の環境価値を証明する
  • I-REC(海外再エネ証書):海外拠点のScope2対応にも活用できる国際的な再エネ証書
OFFSELでできること

OFFSELは、FIT非化石証書・Jクレジット・グリーン電力証書・I-RECなど5種類のカーボンクレジット・再エネ証書を一元取扱いするマーケットプレイスです。

  • 業界最安値水準:FIT非化石証書 0.411円/kWh〜
  • 1kWhから購入可能(最低ロットなし)
  • 申込書1枚・手数料無料でシンプルに調達できる
  • 100カ国以上の海外拠点向け調達にも対応




まとめ:エネルギーミックスとは何か、企業が今すぐできること

エネルギーミックスとは、複数の発電方法を組み合わせて安全・安定・経済的・環境的に電力を供給するための電源構成のことです。2030年の再エネ目標は36〜38%ですが、現状の実績は約20%前後にとどまっており、目標達成には企業の積極的な取り組みも不可欠です。

電源構成全体の変化を待つだけでなく、FIT非化石証書(0.411円/kWh〜)やJクレジットなどを活用することで、今すぐ自社の脱炭素を前進させることができます

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    編集者

    imaoka

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