TIGR(Tradable Instruments for Global Renewables)とは?証書の目的や発行するメリット・デメリット
- CO2削減

TIGR(Tradable Instruments for Global Renewables)とは、北米以外の国・地域での利用を目的に発行されている海外の環境証書です。
TIGRの発行国や対象にできる発電設備や使用期限などの情報に加えて、どのようなメリットがあるのか、デメリットはあるのかなどを見ていきましょう。
目次
- 1 TIGR (Tradable Instruments for Global Renewables)とは?
- 2 TIGR (Tradable Instruments for Global Renewables)が発行された背景・理由
- 3 TIGR (Tradable Instruments for Global Renewables)を購入するメリット
- 4 TIGR (Tradable Instruments for Global Renewables)を購入するデメリット
- 5 TIGR (Tradable Instruments for Global Renewables)の活用方法
- 6 TIGRを購入するなら最安値のOFFSEL(オフセル)
- 7 まとめ
TIGR (Tradable Instruments for Global Renewables)とは?
TIGR (Tradable Instruments for Global Renewables・以降本文中では「TIGR」と記述)は、北米以外の国や地域での利用を目的に発行している環境証書(電力証書)で、アメリカ合衆国・カリフォルニア州に本拠地を置くAPX社(An Xpansiv Company)が標準化を担当しています。
以下表にTIGRの概要をまとめます。
対象国 | インド・インドネシア・グアテマラ・シンガポール・タイ・台湾・中国・バングラデッシュ・フィリピン・ベトナム・マレーシアなどアジアを中心に発行(北米以外の国) |
発行者 | APX社 |
対象となる発電設備 | 太陽光発電がメイン |
電源特定の可否 | 可能 |
国際イニシアチブの活用可否 | 発行国のRE100・CDP・SBTなどが活用可能 |
使用期限 | なし |
TIGRの対象国はアジアが中心で、特にシンガポールの太陽光発電の証書が多く、自家発電設備の証書もあります。アジア諸国のほか、南米・グアテマラの証書も発行されています。これらの国全てでI-RECが発行されていますが、TIGRの取引も活性化してきました。
TIGRの取引の価格は発行される国・発電方法によって異なりますが、太陽光発電証書の2021年時点の平均価格は1kWhあたり約0.2円から0.3円でした。
(参考:自然電力グループ「海外における環境証書」)
(参考:自然エネルギー財団「電力証書が自然エネルギーを増やす」)
TIGR (Tradable Instruments for Global Renewables)が発行された背景・理由
TIGRは、企業がRE100を達成するための手段として発行されました。スコープ2の排出削減が目的でTIGRを入手した場合には、CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)への情報開示が義務となっています。
TIGRを購入した企業はTIGRレジストリに自社でアカウントの開設を行い、プロジェクト開発者からTIGRを購入し、自社企業で譲渡・償却などのプロセスを管理できる仕組みです。TIGRレジストリにアカウントを開設している小売事業者を仲介してTIGRを購入する企業も多いです。
企業は上記のような方法でTIGRを入手し、償却してから情報開示のスキーム(RE100・CDP・SBTiなど)に報告を行います。
数多くの企業がこのシステムを構築することにより、RE100などの目標を達成しています。
(参考:JETRO「中国における脱炭素に向けた取組・方法に関する調査」)
TIGR (Tradable Instruments for Global Renewables)を購入するメリット
日本企業がTIGRを購入する際にどのような利点があるのかを見てみましょう。
海外のクレジットの方が国内クレジットよりも安価
投資家に注目されているのは、海外のクレジットであるRIGRの方が国内のクレジットよりも安く入手できるという点です。
国内クレジットよりも安いという点以外にも、企業の再生可能エネルギー利用の管理・追跡するシステムの信頼性が高いため、TIGRを選ぶ投資家が増えています。
スコープ2の目標に設定できる
TIGRは、SBTi(科学と調整した削減目標イニシアチブ)目標の設定に際して企業がマーケットベースでの算出方法を選んだ場合、スコープ2の目標にTIGRを組み込むことができるようになっています。
日本よりも適応の自由度が高いため目的に合わせてクレジットを選択可能
TIGRは、日本のクレジットよりも適応の自由度が高いという特徴により、目的に合わせてクレジットを選べます。
その結果、複数の分野で社会に貢献したという実績を得ることができ、政府・自治体・他企業・消費者にPRできるのは、企業にとって非常に大きなメリットになります。
国によってその国の貧困救済に貢献できる
TIGRは電力関連の環境証書なので、購入・活用するだけでも環境保全に貢献できますが、TIGRを発行している国が貧しい国の場合には救済措置という姿勢での購入も可能なので、その国の貧困休載に貢献できるという利点があります。
TIGR (Tradable Instruments for Global Renewables)を購入するデメリット
TIGRの購入には解決されていない課題もあります。
RPS制度で使用できない可能性がある
世界中の再エネ証書を扱えるTIGRですが、地域ごとに制度や基準が違うため、対応しきれないことがあります。
また、中国のRPS制度で使用できないという難点もあり。このデメリットは同じ条件を持つ日本企業にも当てはまるケースがあります。中国のRPS制度で使用できないというデメリットは、同じ条件を持つ日本企業にも当てはまるケースがあるのです。
詳細な情報が少なくて不透明
日本語で詳細を紹介しているサイトが少ないのもデメリットです。TIGRは北米以外の全ての国家で使用可能なクレジットですが、日本国内での知名度がまだ低いため、購入・活用しているというPRが空回りをしてしまう可能性もあります。
提供できる情報が少ないためにグリーンウォッシュという誤解を招きかねないので、TIGR活用の有用性をアピールしていく努力が必要です。
TIGR (Tradable Instruments for Global Renewables)の活用方法
TIGRはスコープ2においてエネルギー属性証書としての役割を果たします。
また、I-RECとGECは分散型再生可能エネルギープロジェクトで証書を発行できませんが、TIGRは証書発行が可能です。取引価格もGECより安く、グリーン電力調達よりも取引手順がシンプルなので、容易に取引でき、活用しやすい証書です。
脱炭素経営に取り組んでいる企業にとって、TIGRの使い勝手の良さはありがたい長所です。国内のクレジットでは適用できなかった分野にも適用できるので、幅広く活用できるでしょう。
(参考:JETRO「中国における脱炭素に向けた取組・方法に関する調査」)
TIGRを発行すべき企業の特徴
以下の特徴を備えた企業にはTIGRの導入をおすすめします。
- 初期投資が負担にならない企業
- TIGR運用に人材を用意できる企業
- さまざまな市場参加者と取引を行いたい企業
- 再エネ利用推進とサステナビリティ目標達成を目指す企業
TIGRは初期投資がかなりかかるため、中小企業には適していません。大企業に分類される企業なら初期投資が負担にならないでしょう。
REC発行と取引、報告書作成などの手続きが必要なので、TIGRの運用と管理に適した人材を配置できる企業ならTIGR発行に向いています。
TIGRのプラットフォームには多様な市場参加者が集まっているため、多くの市場参加者との取引を望む企業は導入するべきです。
再エネ利用推進とサステナビリティ目標達成を目標に掲げている企業も、TIGRの運用をおすすめします。
(参考:Spaceship Earth「TIGR (Tradable Instruments for Global Renewables)とは?特徴やメリット・デメリットも」)
TIGRを購入するなら最安値のOFFSEL(オフセル)
OFFSEL(オフセル)は、非化石証書やJ-クレジット、TIGRなどの環境価値を調達代行できるサービスです。
OFFSELでは1kWhという少ない単位かつ業界最安値で購入でき、手数料無料で手続きできるメリットがあります。
ちなみにOFFSEL以外の証書購入代理店では、料金を個別で問い合わせなければならない企業が多数あり、非公開のことも多くあります。
OFFSELでは、環境価値の購入相談や手数料が一切かからないだけでなく、事務作業も丸投げできるため手間もかかりません。
TIGR以外の証書も対象なので、「まずは話だけ聞きたい」という方でもぜひ問い合わせしてみてください。
まとめ
TIGRは北米を除く全ての国と地域で発行・取引が可能な国際グリーン証書なので、国内の証書にはない特性を備えています。
広いジャンルのビジネスに適用可能で、国内の電力証書よりも安価に取引できる点でも、脱炭素経営の資金難に悩む企業にとっては申し分のない電力証書といえます。
今後国内での活用が増えることにより、さらに利用しやすくなるでしょう。
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編集者
pn.garrden