環境価値の購入方法|購入の流れ・必要な情報・期間と受け取る証明書

  • CO2削減
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法人が環境価値(非化石証書・J-クレジット・グリーン電力証書など)を購入する方法は、大きく分けて「自社で市場に参加して購入する方法」と「仲介・代行事業者を通じて購入する方法」の2つです。どちらの方法でも、使う目的、証書・クレジットの種類、必要な量、いつまでに必要か、の4点を先に決めておくと、見積もりと手続きを進めやすくなります。

本記事では、購入方法の違い、購入の流れ、各段階で必要な情報、非化石証書の入札日程、購入後に受け取る書類、つまずきやすい点を順に説明します。

この記事の監修者
河村 虎男
河村 虎男
エレビスタ株式会社 新規事業推進マネージャー
脱炭素アドバイザー
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専門領域
カーボンオフセット GHG排出量算定 SBT / CDP支援 JCM(2国間クレジット) 再生可能エネルギー
経歴
慶應義塾大学経済学部卒業後、三菱UFJリサーチ&コンサルティング サステナビリティ戦略部 環境チームにてサプライチェーン排出量算定・CDP回答支援・SBT取得支援・JCM事務局業務など50件以上のプロジェクトに従事。2024年よりエレビスタ株式会社に参画。
登壇:環境ビジネスオンライン「J-クレジット創出&売買実践講座」
OFFSEL
調達費用概算
シミュレーター
調達量を入力して、おおよそのコストを確認できます
FIT非化石証書
J-クレジット
グリーン電力証書
FIT非化石証書
参考単価:約 ¥0.41 / kWh(水力・時期により変動)
最低調達量:1 kWh〜
調達量を入力してください
kWh
調達量を入力してください(1以上の数値)
J-クレジット
参考単価:約 ¥4,500〜 / t-CO2(区分・時期により変動)
本シミュレーターは ¥4,500 / t-CO2 を参考値として使用
調達量を入力してください
t-CO2
調達量を入力してください(1以上の数値)
グリーン電力証書
参考単価:約 ¥1.50 / kWh(時期・電源種により変動)
最低調達量:1,000 kWh〜
調達量を入力してください
kWh
調達量を入力してください(1,000以上の数値)

環境価値の購入方法は「自社で市場に参加する」か「事業者を通じて買う」か

環境価値の調達方法は、商品ごとに取引の場と手続きが異なります。ただし、購入する企業の立場から見ると、選択肢は「自社が市場の参加者になって購入する」か「市場に参加している事業者を通じて購入する」かに整理できます。

主な環境価値の購入経路(2026年10月14日時点で確認できた範囲)
商品 数量の単位 自社で市場に参加して購入する場合 事業者を通じて購入する場合
非化石証書(FIT) kWh 日本卸電力取引所(JEPX)の非化石価値取引会員として入札します。会員になるには加入手続きと入会金が必要です。 FIT非化石証書の市場では、需要家に加えて仲介事業者も購入できます。仲介・代行事業者に調達を依頼します。
J-クレジット t-CO2 日本取引所グループ(JPX)のカーボン・クレジット市場に参加して売買します。自社名義の口座開設などの参加要件があります。 相対取引や仲介事業者を通じて購入します。
グリーン電力証書 kWh 証書を発行・販売する事業者から購入します。 仲介事業者を通じて購入します。

非化石証書の会員規程では、非化石価値取引会員の加入資格を国内法人であることや適格請求書発行事業者であることなどと定め、入会金を10万円(消費税相当額は別)としています(JEPX「非化石価値取引会員規程」2024年6月28日改定、第2〜6条)。年会費などの継続費用は、JEPXの最新の料金案内で確認してください。

J-クレジットの市場について、JPXは登録料・売買手数料などの料金を「当分の間はいずれも無料」としています。一方で、直接取引するには申込者名義の預貯金口座とクレジット口座の開設、2名以上の役職員の従事などの要件があります(JPX「カーボン・クレジット市場 制度概要」2025年版 p7、JPX「市場参加者」、いずれも2026年9月17日確認)。

なお、電力会社の再エネ電力メニューへの切り替えは、証書を単独で購入する方法とは契約の対象が異なります。本記事では、電力契約とは別に証書・クレジットを購入する方法を扱います。

自社で参加するか、事業者に依頼するかの判断軸

どちらが適するかは、購入量だけでは決まりません。次の4点を同じ条件で比べて判断します。

  • 費用:入会金・年会費などの固定費と、数量に応じた手数料を含めた総額
  • 社内の体制:入札、口座管理、証書化(無効化)を担当できる人員がいるか
  • 購入の頻度:毎年継続して購入するか、単年度・少量の購入か
  • 必要な書類:報告や取引先への説明に使う証明書を、誰が発行・管理するか

購入量の多い企業が自社で参加する方が費用を抑えられる場合もありますが、一律の分岐量はありません。費用の比較方法は「環境価値の価格」の記事で詳しく説明します。

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購入前に決める4つのこと:用途・種類・量・期限

見積もりを依頼する前に、次の4点を社内で整理しておきます。4点が決まっていない場合も相談はできますが、決まっているほど見積もりの条件が明確になります。

用途:購入した環境価値を何に使うか

Scope 2排出量の算定、取引先への回答、温対法の報告、RE100やCDPへの対応など、使い道によって利用できる商品や必要な属性が異なります。たとえば非化石証書は化石燃料以外の電源に由来する価値を扱うため、原子力由来のものも含まれます。再エネ由来として使いたい場合は、再エネ指定の有無や電源の情報(トラッキング)を確認する必要があります。

各制度で使えるかどうかは、制度を運営する団体の最新の基準で確認してください。購入前に用途を伝えておくと、適合しない商品を購入するリスクを減らせます。

種類:非化石証書・J-クレジット・グリーン電力証書

非化石証書とグリーン電力証書は電力量(kWh)に付随する価値、J-クレジットは温室効果ガスの削減量・吸収量(t-CO2)を対象とします。単位が異なるため、1kWhあたりの価格と1t-CO2あたりの価格を単純に比べることはできません。どの商品が自社の用途に合うかは「環境価値の証書比較」の記事で説明します。

量:購入量の計算方法

電力に付随する証書(非化石証書・グリーン電力証書)の購入量は、対象とする拠点・期間の電力使用量(kWh)と、そのうちどの割合を対象にするかで決まります。たとえば、年間の電力使用量が100万kWhの拠点で50%を対象にする場合、必要量は50万kWhです(数値は計算方法を示すための仮定です)。

J-クレジットでカーボン・オフセットを行う場合は、対象とする排出量(t-CO2)を基に必要量を決めます。排出量そのものの算定方法は本記事の対象外です。

期限:いつまでに必要か

報告書や取引先への回答の提出期限から逆算し、証明書が必要な日を決めます。非化石証書は年に数回の入札で調達するため、入札日程によっては希望の時期に間に合わない場合があります。日程は次の章で確認してください。

環境価値の購入の流れ:相談から証明書の受け取りまで

OFFSELに非化石証書の調達を依頼する場合、一般的な流れは次のとおりです。

  1. 相談:用途、種類、希望時期を伝えます。
  2. 電力使用量の集計:購入する企業が、自社のデータから対象拠点・期間の電力使用量を集計します。
  3. 見積もり:電力量と単価から金額を算出します。単価、手数料、税の扱い、見積もりの有効期限を確認します。
  4. 申し込み:システムから申し込み内容を入力します。システムを利用できない場合は申込書で申し込むこともできます。
  5. 内容の確認:OFFSELが申し込み内容に誤りがないかを確認します。
  6. 入札・調達:OFFSELがJEPXの入札で証書を調達します。
  7. 落札の確認と無効化:落札結果を確認し、購入企業が利用するための無効化(証書化)を行います。
  8. 書類の受け取り:無効化証明書(PDF)と請求書を受け取ります。

J-クレジットとグリーン電力証書は取引の場が異なるため、調達と書類の受け取りの手順も変わります。商品ごとの手順は見積もりの際にご確認ください。

非化石証書の購入期間:2026年度の入札日程

JEPXが公表している2026年度分のFIT非化石証書の入札日程のうち、本記事の確認日(2026年10月14日)以降の予定は次のとおりです。

2026年度分 FIT非化石証書の入札日程(JEPX 2026年6月25日公表の予定)
回 入札期間 備考
第2回 2026年11月24日〜11月30日 約定日:2026年11月30日
第3回 2027年2月19日〜2月26日 -
第4回 2027年5月17日〜5月21日 2026年度分の口座移動の終了日:2027年6月25日

出典:JEPX「2026年度分非化石価値取引市場スケジュール」2026年6月25日、p1。日程は変更される場合があります。

代行事業者に依頼する場合、申し込みの締め切りは入札期間より前に設定されます。また、市場の取引年度と、証書の対象となる発電期間は一致しません。購入する証書が、報告に使う年度に合うかを見積もりの段階で確認してください。

J-クレジットを自社で市場から購入する場合の準備期間

JPXのカーボン・クレジット市場に自社で参加する場合、登録申し込みの締め切り日(毎月末)のおよそ1か月後から取引できるとされています(JPX「市場参加者」、2026年9月17日確認)。口座開設などの準備期間を含めて計画してください。

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各段階で必要な情報と書類

購入の各段階で、購入する企業が用意する主な情報は次のとおりです。

購入の段階ごとに用意する情報
段階 用意する情報・書類 補足
相談 法人名、所属部署、担当者名、メールアドレス、相談内容 OFFSELの相談フォームの必須項目(2026年9月17日確認)。用途や種類が未定でも相談できます
見積もり 用途、商品の種類、対象拠点と期間、電力使用量(kWh)または対象排出量(t-CO2)、希望時期、再エネ指定などの属性の希望 属性の指定によって価格や調達の可否が変わる場合があります
申し込み 証明書に記載する名義、対象拠点、数量 名義と対象拠点は、報告や取引先への説明に合わせて決めます
社内手続き 見積書、購入の目的と用途の説明 稟議の時期を入札日程と合わせて計画します

社内の稟議資料の作り方は「環境価値購入の稟議」の記事で説明します。

購入後に何がもらえるか:証明書と保管しておく書類

環境価値は、購入しただけでは報告などに利用できません。証書・クレジットを利用済みとして処理(無効化・証書化)し、その記録を証憑として保管します。

非化石証書の場合

JEPXは、需要家が非化石証書を利用するには証書化が必要であり、利用する報告に応じて発行方法を選ぶと説明しています(JEPX「非化石価値取引システム利用ガイド」2026年7月14日改定、p12〜18)。OFFSELに依頼した場合は、無効化証明書(PDF)と請求書を受け取ります。無効化証明書には、設備コードなど発電所に関する情報が記載されます。

J-クレジットの場合

J-クレジットは、使用する際に無効化して二重使用を防ぎます。カーボン・オフセットや報告に使う場合は、無効化の記録を確認できるようにしておきます。

証明書で確認する項目

受け取った書類は、次の項目が用途と一致しているかを確認してから保管します。

  • 名義:報告する法人・拠点と一致しているか
  • 数量と単位:見積もり・申し込みの数量と一致しているか(kWhまたはt-CO2)
  • 対象期間:報告に使う年度に合っているか
  • 電源・属性:再エネ指定やトラッキングなど、用途で求められる条件を満たしているか
  • 無効化の記録:利用済みとして処理されたことが確認できるか
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環境価値の購入でつまずきやすい点

購入の手続きそのものよりも、購入前の確認不足が原因で、報告や説明に使えないことがあります。次の点に注意してください。

  1. 購入しただけで報告に使えると考える:無効化(証書化)と証明書の受け取りまでが必要です。
  2. 非化石証書をすべて再エネとみなす:再エネとして使う場合は、再エネ指定や電源の情報を確認します。
  3. 取引年度・発電期間・報告年度を混同する:証書の対象期間が、報告に使う年度に合うかを確認します。
  4. 名義や対象拠点を決めていない:証明書の名義は、後から変更できない場合があります。
  5. 入札日程と社内手続きが合っていない:稟議・発注・支払いの時期を入札日程から逆算します。入札結果の確定後に請求書が発行されるため、経理の締め日も事前に確認します。
  6. 購入を自社の排出削減と同じ意味で説明する:環境価値の購入は、自社の設備から出る排出量を物理的に減らすものではありません。算定や報告にどう反映するかは、利用する制度の基準に従います。

よくある質問

少量でも購入できますか

OFFSELのサイトでは、非化石証書を1kWhから購入できると案内しています(2026年9月17日確認)。価格や対象となる証書の条件は取引状況によって変わるため、見積もりの際に確認してください。

申し込みから証明書を受け取るまで、どのくらいかかりますか

非化石証書は、入札の日程によって受け取りの時期が決まります。申し込みの時期と次の入札回の関係で期間が変わるため、必要な日を伝えたうえで見積もりを依頼してください。

自社で市場に参加した方が安くなりますか

購入量が多い場合は自社で参加する方が費用を抑えられることもありますが、会費などの固定費、手数料、入札や口座管理の事務負担を含めた総額で比べる必要があります。一律に有利・不利を判断できる基準はありません。

非化石証書とJ-クレジットのどちらを購入すべきですか

用途によって異なります。電力由来の排出(Scope 2)への対応か、排出量のオフセットかなど、使い道を先に決めてから選びます。詳しくはFIT非化石証書の商品ページとJ-クレジットの商品ページもご覧ください。

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購入方法を決めたら、必要量と期限を整理して見積もりを依頼する

環境価値の購入は、用途・種類・量・期限を決め、見積もり、申し込み、調達、無効化、証明書の受け取りの順に進めます。自社で市場に参加するか事業者に依頼するかは、費用の総額と社内の体制で判断します。

OFFSELでは、用途と電力使用量をお伺いし、購入する証書の種類と量を整理したうえで見積もりをお出しします。年度末の報告に間に合わせたい場合は、次の入札日程に合わせて早めにご相談ください。

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    編集者

    imaoka

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