環境価値の価格は?単位・価格差の理由と費用の見積もり方
- CO2削減

環境価値の価格は、商品の種類によって単位と決まり方が異なります。非化石証書とグリーン電力証書は電力量あたり(円/kWh)、J-クレジットはCO2の削減量・吸収量あたり(円/t-CO2)で取引されるため、まず自社が必要とする商品と数量の単位を揃えることが、価格を比べる出発点です。
予算化では、単価に数量を掛けた代金だけでなく、手数料、証書化などの手続き費用、税を加えた総額で判断します。価格は取引の時点や条件によって変動するため、この記事では特定の価格を保証するのではなく、商品ごとの価格の見方、価格差が生じる理由、必要量からの試算手順、見積もりを比較する際の確認項目を説明します。
シミュレーター
最低調達量:1 kWh〜
本シミュレーターは ¥4,500 / t-CO2 を参考値として使用
最低調達量:1,000 kWh〜
目次
環境価値の価格は、商品ごとの単位と価格が決まる場で確認する
環境価値には、すべての商品に共通する1つの市場価格はありません。商品によって対象とする価値、価格の単位、取引される場が異なるため、相場や単価を調べる際は、まず次の表で対象の商品を確認してください。
| 商品 | 対象とする価値 | 価格の単位 | 価格が決まる主な場 | 価格を確認する際の注意 |
|---|---|---|---|---|
| 非化石証書 | 非化石電源(原子力を含む)に由来する電力の環境価値 | 円/kWh | 日本卸電力取引所(JEPX)の非化石価値取引市場での入札 | 入札の回と発電対象年ごとに価格が異なる。電気を使用する需要家が利用する市場は原則としてFIT市場 |
| グリーン電力証書 | 再生可能エネルギーに由来する電力の環境価値 | 円/kWh | 証書の発行事業者・発電事業者との取引 | 電源や発電所の指定、契約期間などの条件で価格が異なる |
| J-クレジット | 国が認証したCO2等の排出削減量・吸収量 | 円/t-CO2 | 相対取引、入札、日本取引所グループ(JPX)のカーボン・クレジット市場など | 再エネ電力、省エネ、森林など、クレジットの種類によって価格が異なる |
非化石証書とグリーン電力証書はどちらも電力量(kWh)を単位としますが、非化石証書は原子力を含む非化石電源を対象とし、グリーン電力証書は再生可能エネルギーのみを対象とする点が異なります。J-クレジットはCO2量(t-CO2)を単位とするため、証書とクレジットの単価をそのまま並べて比較することはできません。比較する場合は、利用する報告の算定方法に沿って同じ単位へ換算する必要があります。なお、非化石証書の市場のうち、電気を使用する需要家が利用する市場は原則としてFIT市場とされています。JEPX「非化石価値取引システム利用ガイド」
非化石証書については、JEPXが入札価格に上下限を設けています。2026年9月17日に確認したJEPXの通知では、FIT非化石証書の下限は0.40円/kWh、上限は4.00円/kWhです。これは入札できる価格の範囲であり、実際の約定価格や、代行サービスを利用した際の販売価格ではありません。JEPX「非化石価値取引の価格制限について」
証書とクレジットの違いや、用途に応じた選び方を先に確認したい場合は、環境価値の証書比較のページも参照してください。
環境価値の費用は、代金・手数料・税を合わせた総額で考える
見積もりや予算を比較する際は、単価だけでなく、支払う費用の範囲を揃えることが重要です。単価が低く見えても、別途の手数料や手続き費用が加わると、総額の順序が変わる場合があります。
総額を構成する費用
- 代金:購入数量(kWhまたはt-CO2)×適用単価。
- 手数料:代行手数料や取引手数料。単価に含まれるか、別建てかを確認します。
- 手続き費用:証書化(無効化)や証明書の発行に関する費用の有無。
- 税と支払いの費用:税込・税抜の区分、振込手数料などの負担者。
市場へ直接参加する場合の初期費用
代行を利用せず、自社で市場に参加する場合は、証書やクレジットの代金とは別に、参加のための費用と体制が必要です。
- 非化石証書(JEPX):非化石価値取引会員になるための資格確認と加入手続きが必要です。会員規程では、入会金として10万円に消費税相当額を加えた額が定められています。年会費などの継続費用は、当該年度の料金で確認してください。JEPX「非化石価値取引会員規程」
- J-クレジット(JPXのカーボン・クレジット市場):JPXの2025年版制度概要では、参加に関する料金等は当分の間いずれも無料とされています。一方で、申込者名義の預貯金口座とクレジット口座の開設、2名以上の役職員の従事などの要件があります。JPX「カーボン・クレジット市場 制度概要」
直接参加と代行のどちらが有利かは、購入数量だけでは一律に決まりません。会員関連の費用、取引のたびに発生する費用、入札・決済・手続きを担う社内の業務負担を合わせ、同じ対象期間の総額で比較します。
年間費用として予算化する
非化石証書には発電対象年(JEPXの取引規程では毎年1〜12月)があり、報告に使う電力の期間と照合して必要量を決めます。継続して環境価値を利用する場合は、報告対象期間ごとに必要量を確認するため、単発の購入費用ではなく年度ごとの費用として予算化しておくと、社内の承認手続きを進めやすくなります。JEPX「非化石価値取引規程」第10条
同じ環境価値でも価格差が生じる主な理由
見積もりや公表価格を比べると、同じ名称の商品でも価格が異なる場合があります。価格差の理由を確認しないまま単価だけで比べると、条件の異なる商品を選んでしまうおそれがあります。主な理由は次のとおりです。
- 商品と区分の違い:非化石証書には、FIT、非FITの再エネ指定、非FITの再エネ指定なしという区分があり、JEPXが定める価格の上下限も区分ごとに異なります(非FITは2種類とも0.60〜1.30円/kWh、2026年9月17日確認)。JEPX「非化石価値取引規程」第10条、JEPX「非化石価値取引の価格制限について」
- 取引の時点:入札の回や発電対象年によって約定価格が異なります。見積もりの価格がいつの取引を前提としているかを確認します。
- 属性の指定:電源の種類、地域、発電設備などを指定するかどうかで、調達できる量と価格が変わる場合があります。
- J-クレジットの種類:再エネ電力、省エネ、森林など、削減・吸収の方法によって供給量と価格が異なります。
- 調達経路と手数料:市場への直接参加か代行の利用か、また代行会社ごとの手数料体系によって、同じ商品でも総額が異なります。
価格の低い商品を検討する際は、用途に必要な条件を満たしているかを先に確認してください。RE100への報告、温対法に基づく報告、取引先への提出、自主的なカーボンオフセットでは、参照する基準や求められる属性が異なります。用途の条件を満たさない商品は、価格が低くても目的に利用できないため、価格は条件を満たす選択肢の中で比較します。
必要量から環境価値の費用を試算する手順
予算の概算は、次の手順で整理できます。各段階で用いた数値の対象時点と出典を記録しておくと、見積もり取得後の差異を説明しやすくなります。
- 用途と商品を決める:何の報告や目標に使うかを整理し、電力の環境価値(証書)とCO2の削減量(クレジット)のどちらが必要かを確認します。
- 対象範囲と期間を決める:対象とする法人・拠点と、電力使用期間または排出量の算定期間を決めます。
- 必要量を出す:証書の場合は対象期間の電力使用量(kWh)のうち証書で対応する量、クレジットの場合はオフセットの対象とする排出量(t-CO2)を算出します。
- 参考単価を当てはめる:公表されている価格や掲載価格を用い、その価格の対象時点と性質(上下限、約定価格、掲載価格)を記録します。
- 手数料・税を加える:単価に含まれない費用と税を加え、総額の概算とします。
- 見積もりで確定する:依頼先から、同じ条件で総額の見積もりを取得します。
たとえば、仮定の計算例として、国内1拠点の1年間の購入電力使用量を100,000kWhとし、その全量をFIT非化石証書で対応する場合を考えます。JEPXが定めるFIT非化石証書の下限価格0.40円/kWh(2026年9月17日確認)を当てはめると、証書の代金は100,000kWh×0.40円/kWh=40,000円です。
この計算は、入札価格の下限を用いた代金のみの目安であり、手数料と税を含みません。実際の約定価格は下限を上回る場合があります。また、実在する顧客の事例や、制度上の用途への適合を示すものではありません。予算として確定する際は、見積もりの総額を用いてください。
少量を購入する場合も、試算の考え方は同じです。ただし、購入数量にかかわらず発生する費用がある場合、少量では1kWhあたりの負担が相対的に大きくなるため、最低販売量と固定的な費用の有無を確認します。
見積もりを依頼・比較するときの確認項目
複数の依頼先から相見積もりを取る場合は、次の項目を揃えてから単価と総額を比べます。条件が異なる見積もりを単価だけで比べると、判断を誤るおそれがあります。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 商品と区分 | 非化石証書のFIT・非FITの区分、J-クレジットの種類、その他の証書の種類 |
| 属性と対象年 | 電源・地域・発電設備の指定の有無、発電対象年またはクレジットの対象期間 |
| 数量と単位 | kWhまたはt-CO2での数量、数量変更の可否 |
| 単価に含まれる範囲 | 代行・取引手数料、証書化(無効化)、証明書発行の費用が含まれるか |
| 税と支払い | 税込・税抜の区分、振込手数料の負担者、支払時期 |
| 価格の確定時点 | 見積もりの有効期限、入札結果などにより価格が確定する時点 |
| 納期と証憑 | 納品予定日、受け取る証明書・補足資料の内容 |
| 調達できない場合 | 希望条件や数量を確保できない場合の対応、キャンセルの条件 |
手数料を比較する際は、手数料率や手数料額だけでなく、どの業務が手数料に含まれるかを確認してください。入札、証書化(無効化)、証明書の納品、用途の確認など、依頼先が担う範囲によって、自社に残る業務と費用が変わります。
支払う費用に対して受け取る証憑を確認する
環境価値の購入では、代金を支払うことと、報告に利用するための手続きを完了することは別の工程です。JEPXは、調達した非化石価値を利用するための手続きを「証書化」と呼んでおり、依頼先によっては「無効化」と呼ぶ場合もあります。見積もりの段階で、手続きを誰が行い、何を受け取れるかを確認してください。JEPX「非化石価値取引システム利用ガイド」
- 利用する法人・拠点の名義と、対象の数量(kWhまたはt-CO2)
- 証書・クレジットの種類と、発電対象期間またはクレジットの対象期間
- 証書化(無効化)の完了状況と、報告先へ提出する書類
なお、環境価値を購入しても、自社の設備から実際に排出されるCO2が減るわけではありません。報告にどのように反映できるかは、対象電力、報告期間、算定方法、適用される基準によって異なります。非化石証書の購入手順と証憑の確認は、非化石証書の購入方法で詳しく説明しています。
よくある質問
環境価値はいくらから買えますか
最低購入量は依頼先によって異なります。OFFSEL公式サイトでは、FIT非化石証書を1kWhから購入できると案内しています(2026年9月17日確認)。支払総額には、代金のほか、振込手数料などの費用が加わる場合があります。JEPXの市場へ直接参加する場合は、取引の前に会員の手続きと入会金が必要です。
環境価値をいくら買えばよいかわかりません
必要量は、使用目的、対象とする法人・拠点、対象期間によって決まります。証書の場合は対象期間の電力使用量(kWh)、クレジットの場合はオフセットの対象とする排出量(t-CO2)が出発点です。必要量が未確定の段階でも、電力使用量や報告先などの判明している情報を整理しておくと、依頼先と数量を検討できます。
環境価値の見積もりに必要な情報は何ですか
見積もりを依頼する際は、次の情報を整理しておくと条件を揃えやすくなります。
- 使用目的と報告先(社内目標、制度報告、取引先への提出など)
- 対象とする法人・拠点と、電力使用期間または算定期間
- 電力使用量または排出量と、証書・クレジットで対応したい数量
- 希望する商品・属性と、必須の条件
- 証憑の受領希望日と、社内決裁の予定
OFFSELで環境価値の費用を確認する場合
OFFSELは、エレビスタ株式会社が運営する環境価値の取引サービスです。FIT非化石証書、J-クレジット、グリーン電力証書、海外の再エネ電力証書、カーボンクレジットを取り扱っています。
OFFSEL公式サイトでは、FIT非化石証書の掲載単価を0.411円/kWhから、最低購入量を1kWhからと案内しています。また、相談費用と発行手数料は無料、振込手数料は購入者の負担とし、価格は取引状況に応じて変動すると記載しています(いずれも2026年9月17日確認)。掲載単価は税の扱いや対象となる発電期間などの条件を含めた見積額ではないため、実際の総額は見積もりで確認してください。OFFSEL公式サイト
見積もりを依頼する際は、使用目的、対象拠点・期間、必要量の見込みをお伝えください。数量や商品が未確定の場合も、判明している情報と未確定の事項を分けてお伝えいただければ、条件を整理したうえで費用を確認できます。
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編集者
imaoka





